嶋津輝の『カフェーの帰り道』が第174回直木賞候補にノミネート!
2023年10月、嶋津輝の短編集『カフェーの帰り道』が第174回直木賞の候補作品に選ばれたことが発表され、多くの読者や文学ファンの注目を集めています。この作品は、東京・上野のカフェーで女給として働く女性たちの姿を描いた短編集であり、時代背景としては大正から昭和にかけての日本が舞台です。
作品の魅力
『カフェーの帰り道』は、歴史の波に翻弄されながらも、のびやかに生きる女性たちの姿を描いています。作品の中には、竹久夢二風の化粧で客を楽しませるタイ子や、小説の技術を磨くことに奮闘するセイ、そしてユーモアを交えた美登里など、個性豊かな女給たちが登場します。彼女たちの物語は、ただの職場での出来事にとどまらず、人生の選択や成長、思い出の大切さを伝えるものとなっています。
特に注目すべきは、彼女たちがカフェー「西行」で出会い、お互いに影響を与え合いながら生きていく姿です。大正時代という背景の中でも、彼女たちの友情や愛情、喜びや悲しみが描かれ、百年の時を超えた共感を呼ぶ物語となっています。
著者の背景
嶋津輝は1969年に東京都で生まれた作家であり、2016年に「姉といもうと」の作品でオール讀物新人賞を受賞し、その後も精力的に執筆活動を行ってきました。過去には短編集『スナック墓場』でデビューし、その作品のいくつかは文庫化もされています。今年2023年には長編『欅(たすき)がけの二人』で直木賞候補になったことでも注目を集めています。彼の作品は女性たちの視点から描かれることが多く、読者に深い感動を与えています。
書誌情報
この『カフェーの帰り道』は2025年11月12日に東京創元社から発売され、228ページの内容となっています。装幀やカバー図案も美しく、作品に対する期待感が高まります。
- - 著者:嶋津輝
- - 判型:四六判仮フランス装
- - ISBN:978-4-488-02936-4
- - 価格:1,870円(税込)
- - カバー図案:「美術海」(C)芸艸堂
背景情報や登場人物の特徴は非常に興味深く、また、物語のメッセージも普遍的な感情と共鳴し、今の時代の読者にも響く内容となっています。ぜひこの機会に、本作を手に取ってみてはいかがでしょうか。
選考結果と期待
なお、直木賞の選考会は2026年1月14日に行われる予定です。嶋津輝の作品が選ばれることを期待する声も多く、文学界の注目が集まっています。彼の表現力豊かな文体と、登場人物たちのリアルな感情描写が、どのような評価を受けるのか楽しみです。今後の展開にぜひご注目ください。