俵万智さんが語る現代に必要な「生きる言葉」の力とは
2025年4月17日、歌人・俵万智さんの待望の新著『生きる言葉』(新潮新書)が発売されました。本書では、日常生活でのコミュニケーションや恋愛、子育てなど、様々な場面での言葉の使い方について深く掘り下げています。
現代のコミュニケーションとその課題
現在、スマートフォンやSNSが普及し、我々は顔の見えない人たちと簡単にやり取りできる便利な環境にいます。しかし便利さの裏側には、言葉の伝わりにくさや誤解が潜んでいるのも事実です。俵さんは「言葉の力が生きる力といえる時代に、日本語の足腰をどう鍛えるか」と問いかけ、読者に重要なメッセージを送ります。
言葉という「コミュ力」の真価
本書は、彼女自身の経験に基づいて、言葉の力について考察しています。たとえば、恋愛における言葉の塩梅や、子育てを通じて見出した言葉の愉しさなど、リアルな体験はまさに涙ぐましいものです。また、ネット上の予想外の反応や、舞台やドラマのセリフの美しさも彼女の観察の対象となっています。
俵さんが言うように、「コミュニケーションにおいて『コミュ力』という教科は存在しない」という現実に、私たちはどう向き合うべきか。コミュニケーション能力の向上を常に意識することが求められているのです。
本書で示される多様な言葉の世界
目次には、ダイアローグ(対話)とモノローグ(独白)の違いや、気分を上げる表現、言葉が拒まれることについてなど、多岐にわたるテーマが並びます。それぞれがリアルな日常に直結しており、自分自身の言葉の使い方に再考を促されます。
本書において特に印象的なのは、和歌の持つ凝縮力や喚起力です。平安時代の『源氏物語』の時代から、現代のAIを用いた言葉の生成に至るまで、言葉がどのように変遷してきたのかも詳しく解説されています。
熱を込めた俵万智のメッセージ
俵さんは自身の著作で言葉への愛を表現し続けており、本書もその一環です。彼女が考える「生きる言葉」とは、個々の言葉がどうすれば力を持ち、他者に届くのかを追求した作品となっています。「生きた言葉とは、どんな表情をしているのだろうか」という問いも、本書のなかで深く探求されています。
まとめ
俵万智さんの『生きる言葉』は、現代社会に生きる私たちにとって必読の一冊です。言葉の力を再認識し、より良いコミュニケーションを築くために、ぜひ手に取ってみてください。これまで以上に、思いやりを持った言葉使いを身につけるヒントを得られることでしょう。
【書籍データ】
- - タイトル: 生きる言葉
- - 著者名: 俵万智
- - 発売日: 2025年4月17日
- - 定価: 1,034円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-611083-2
- - URL: 新潮社