映画館で楽しむバレエ『くるみ割り人形』の魅力
冬の代表的な舞台作品である『くるみ割り人形』は、今回はヌレエフ版としてパリ・オペラ座による新たな解釈で披露されます。映画館での上映となり、臨場感と迫力がより一層感じられるこの機会は、芸術性の高い作品を観るチャンスです。2026年1月23日から3月19日まで、日本各地の劇場で劇場限定で上映されます。
ヌレエフ版『くるみ割り人形』の奥深いストーリー
『くるみ割り人形』は、E.T.Aホフマンの原作を基に、少女クララの心の成長が描かれています。ヌレエフ版は、物語の可愛らしさだけでなく、主人公の心理にも光を当てた“大人のためのバレエ”として知られています。この作品は1985年にヌレエフが振り付け、パリ・オペラ座の名作を新たな角度から捉え直しています。
舞踊評論家の森菜穂美氏は、「この作品の特徴は、ドロッセルマイヤーと王子を同一のダンサーが演じること」と指摘します。クララの夢の中での幻想的な体験を組み込むことで、彼女の内面的な探求の過程が表現されています。第一幕でクララを取り巻くキャラクターが、第二幕では異なる姿で現れることで、現実と幻想がシームレスな形で繋がる様子はまるで映画を観るような感覚を与えます。
心理的要素と華やかさの両立
また、ヌレエフ版では心理ホラー的な要素も見どころです。ねずみの軍団や悪夢のクリーチャーなど、クララの不安や恐れが具体化され、視覚的に強い印象を与えています。一方で、お菓子の国での華やかな舞踏や、雪のシーンでは、クラシック・バレエならではの美しさや華やかさが楽しめるため、観る者の心を躍らせます。
特に金平糖のグラン・パ・ド・ドゥは、緻密で高度なテクニックが光り、クラシック・バレエの美しさを存分に味わえる名場面です。チャイコフスキーの音楽がクララの内面の成長に寄り添い、観客の心を打つ瞬間が数多く存在します。
ドロテ・ジルベールの最後のクララ役
クララを演じるのは、パリ・オペラ座のエトワール、ドロテ・ジルベール。彼女は思春期の女性の心情を繊細に表現し、物語の大きな軸となっています。これは彼女にとって、エトワールとしてのキャリアの中でも特に大切な作品であり、退職を控えた彼女の最後のクララ役となることから、多くの期待が寄せられています。
王子とドロッセルマイヤーを演じるのは、若手エトワールのギヨーム・ディオップ。彼は二役を見事に演じ分け、視覚的な対比が強調されること間違いなしです。森氏は、彼ら二人のパートナーシップにも注目していると語ります。
日本初公開のこの機会をお見逃しなく
ヌレエフ版『くるみ割り人形』は、来日公演で上演されたことがなく、日本で完全な形で上映されるのは初めてとあって、この機会を逃すのは非常にもったいないでしょう。上映は全国の劇場で行われ、その美しいダンスと音楽、そして深い物語に触れる絶好のチャンスです。
- - 上映情報: 2026年1月23日よりTOHOシネマズ 日本橋および全国の劇場で。
- - 料金: 一般 3,000円、学生 2,000円(税込)。
詳細な上映情報やチケットの購入については、公式サイトをチェックしてください。