映画『がらがら、あくた』が描くユニークな家族の物語
若年性認知症を抱えた父と娘の物語を描く長編映画『がらがら、あくた』が、制作に向けたクラウドファンディングを開始しました。本プロジェクトは映像制作チームCOLORABO FILMによって運営され、監督・脚本は蜂丸明日香が担います。2026年8月29日にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で目標金額100万円を設定し、現在、約34%の支援を獲得しています。その集まった資金は、映画制作の様々な費用に充てられる予定です。
物づくりと家族の絆
なぜ今、ものづくりをテーマにしているのでしょうか。近年、AIや便利なサービスの普及により、作品を素早く形にすることが可能になってきました。しかし、物を作ることにはじっくりと時間をかけ、失敗を重ねる過程があることが重要です。それが「ものづくりの楽しさ」であり、時にはそのプロセスが愛情を育むことにもなるのです。この映画では、家族の近さゆえに素直になれない感情と、不器用ながらも物を作ることの喜びを重ねて描いていきます。
あらすじ
物語は、久しぶりに実家に帰った律と、その父・幸作が中心です。律は久々に目にした父の変わり果てた姿と、部屋に残された「役に立たない発明品」に驚かされます。これまで鬱陶しいと思っていた父の創造物が、自分への愛情の表れであったことに気づく律。彼女は、周囲の人々を巻き込みつつ、父が完成できなかった“最後の発明品”を自らの手で製作することになります。すれ違い続けた父と娘は、物を作ることで再び向き合うことができるのか、そんなテーマが仕掛けられています。
クラウドファンディングの内容
本プロジェクトのクラウドファンディングは2026年8月29日から11月11日までの期間に実施され、目標金額は100万円です。リターンには、映画脚本のPDFやパンフレット、メイキング映像、試写会への招待などの特典が用意されています。また、映画の中に支援者の名前を掲載する「こっそりお名前出演権」など、参加型のユニークなリターンもあります。
9月4日時点で、目指すべき100万円のうち34%が集まった形となっています。
監督の思い
監督の蜂丸明日香は、自身の育ての父との経験を基にこの物語を創造しました。「長い時間を共に過ごす中で、見えない愛情がある」という気づきが、背景にあるのです。家族だからこその未熟なコミュニケーションや、簡単には伝えられない思いを、本作の発明品という形で表現しています。
「近くにいるからこそ見えないものがある」というテーマに共感し、監督自身も「物作り」に情熱を注いできた経験をもとに、愛おしい「無駄」を形にしたい、という思いが込められています。
制作チームと専門家
本作には映画制作の専門家に加え、認知症や発明、法務に関する知識を持つ専門家も参加しており、リアリティある描写を追求しています。撮影監督に根岸憲一氏、助監督に山本透氏、発明の監修に石川大樹氏、医療監修には新井平伊氏が名を連ねています。
ヘボコンへの参加
8月29日、監督は「ヘボコン2026」に出場しました。これは、ものづくりの楽しさを追求するイベントで、技術力の低い人々が集まり、みんなで楽しむことが目的。監督もこの経験を通じて映画に新たなインスピレーションを受けたと言います。
現在の予定
2026年12月に本編の撮影を行い、2027年春に完成を目指しています。完成後は映画祭への出品や、ミニシアターでの公開、さらには介護や認知症に関する上映会を通じて、本作を広めていくことを考えています。
COLORABO FILMは「ちょっとヘンテコだけど、観たあとの心に残る」作品作りを目指し、新たな挑戦を続ける映像制作チームです。