戦争の記憶を今に伝える『わたくし96歳が語る』が発売

森田富美子が伝える戦争と平和のメッセージ

2025年7月19日、KADOKAWAより新刊『わたくし96歳が語る 16歳の夏～1945年8月9日～』が発売されました。本書は、長崎で被爆した森田富美子さんが、当時の経験を語り、後世に伝えるために書かれたものです。著者である森田富美子さんは、1929年生まれで、16歳のときに原子爆弾の被害に遭い、両親と3人の弟を失いました。その悲劇的な経験を振り返りながら語る言葉には、聞く者の心を揺さぶる力があります。

80年前の現実を語る

著者である富美子さんは、原爆投下の日の詳細を振り返り、その恐怖と悲しみを綴っています。「この本は、80年前に実際に起きた現実です」と彼女は語ります。粉々になった家族を失い、日常生活を奪われた彼女の思いを、読者はリアルに感じ取ることができるのです。富美子さんは「悲しい」「怖い」と感じることが、戦争を理解するための一歩であると述べています。戦争の恐ろしさを忘れずにいるために、彼女のメッセージは非常に重要です。

物語の背後にある苦悩

この本は、富美子さんと彼女の長女、森田京子さんの共同作業によって完成しました。京子さんは母の体験を聞きながら、その言葉を丁寧に紡ぎ出しました。原爆によって命を奪われた弟たちの思い出、そしてその苦しみを語る際の葛藤は、富美子さんにとって非常に過酷なものでした。「もういい加減にして！」と叫んだこともあると告白しますが、それでも「語らなければ」という使命感が彼女を突き動かしました。

京子さんは、「母には5人の弟がいましたが、ある日突然命を奪われました。それは、あまりにも衝撃的な出来事でした。母の家からわずか200メートルの地点に原爆が落とされたのです」と涙ながらに語ります。この瞬間、彼女たちの家族は一瞬にして壊滅的な被害を受けてしまったのです。

語り継ぐことの重要性

『わたくし96歳が語る』は、戦後80年が経過した今なお、多くの人々に平和の大切さと戦争がもたらす悲劇を訴えかけます。富美子さんは、原爆の恐怖を想像することが難しい現代に生きる私たちに対し、「繰り返してはいけないことがある」と強く警鐘を鳴らします。また、読者には実際に体験してほしい、寄り添ってほしいという願いも込められています。

SNSキャンペーンで心を伝えよう

さらに、本書を読んだ方には、感想や平和に対する思いをハッシュタグ「#16歳の夏を語り継ぐ」で投稿してもらうキャンペーンも行われています。集まった声は、森田富美子さん本人のSNSアカウントを通じて共有され、多くの人々の思いをつなげる場になります。

本書は、特に2025年8月31日までのキャンペーン期間中に、特典として特別なイラストデータも配信されています。このイラストは、平和への祈りを込めたもので、思い出を共有することの大切さも再認識させてくれます。

80年経った今もなお、戦争は私たちの身近に存在しているという現実を忘れないために、この本を手に取り、森田富美子さんの言葉を心に留めてみてはいかがでしょうか。彼女の語りは、これからも私たちに大切な教訓を与え続けることでしょう。