日本規格協会がISOの新たな邦訳版を発行
一般財団法人日本規格協会が新たに発行した「ISO 11137-1:2025」は、ヘルスケア製品の滅菌に関する重要な規格です。本規格は、医療機器の滅菌プロセスの開発やバリデーション、日常管理の要求事項を詳細に規定しています。これにより、安全で信頼性の高い滅菌が実現され、医療現場での安心感が大きく向上します。
滅菌の意義とそのプロセス
滅菌とは、生育可能な微生物が全く存在しない状態にする処理のことであり、医療機器の使用には欠かせません。具体的には、滅菌のプロセスを通じて、製造中に機器に付着した微生物を不活化し、無菌状態に仕上げます。
しかし、滅菌は確率的なプロセスであり、完全に微生物を排除することは難しいのが現実です。そのため、製品の無菌性は、「微生物が残存する確率が非常に低い」と定義されます。この点を考慮することで、医療機器の安全性が高まり、患者の健康に寄与するのです。
ISO 11137-1:2025の概要
新たなISO規格「ISO 11137-1:2025」は、特に放射線を用いた滅菌プロセスに必要な要求事項を設けています。この要求事項に従うことで、滅菌プロセスは信頼性を確保しながら、再現可能性も向上させます。また、製品が求められる無菌性レベルに達することが保証されます。
購入情報
- - 【英語版】税込価格:36,993円 (A4判・39ページ)
- - 【英・日対訳版】税込価格:66,583円 (A4判・98ページ)
関連規格の紹介
加えて、ISO 11137-2:2013も重要な関連規格です。この規格では、放射線滅菌の「線量」を設定し、その有効性を維持するための方法が具体的に規定されています。このため、滅菌処理の信頼性がさらなる向上を期待できます。
主な内容は以下の通りです。
製品の無菌性を達成するために必要な最低限の線量を明確にします。
25 kGyや15 kGyの標準線量を用いて無菌性保証水準(SAL)10−6が達成できることを証明する方法が設けられています。
設定された滅菌線量が持続的に有効であることを確認するための監査手法が定められています。
製品を効率的にグループ化することで、線量設定や監査をスムーズに行えるようにしています。
日本規格協会について
一般財団法人日本規格協会は、1945年に設立され、標準化に関する幅広い事業を展開しています。JISや国際規格、各種マネジメントシステムの審査など様々な分野で日本の標準化推進に尽力している団体です。今後も日本の医療業界にとって欠かせない存在であり続けることでしょう。