村上春樹の最新作を新潮で楽しむ
2025年4月7日、株式会社新潮社が発行する文芸誌「新潮」の5月号が発売され、なんと村上春樹さんの書き下ろし最新作である中篇小説「武蔵境のありくい」が掲載されました。これは、春樹さんが創作活動を再開した過去一年の中で生まれた意欲作であり、文芸誌への掲載は非常に稀有なことです。
「武蔵境のありくい」の物語
今回の作品は、原稿用紙130枚というボリュームを持ち、前作「夏帆」の続編的要素も持ちながらも独立した形で楽しむことができる内容になっています。主人公である絵本作家の夏帆は、ありくい夫婦の提案で「文明の果つるところ」武蔵境に引っ越すことに。そこで、彼女は「シロアリの瓶詰め」という危険なアイテムを闇ルートで手に入れる任務を負うことに。果たして、彼女が立ち向かう謎とは何なのか、そして、夢の中の出来事なのか現実の一部なのか?この物語は、創作の根源を見つめながら、夏帆が直面する様々な試練を描き出しています。
文芸誌における春樹作品の貴重さ
村上春樹の短篇や中篇が文芸誌に掲載されること自体、非常に稀なことであり、最後にそんな形で作品が発表されたのは1982年の「羊をめぐる冒険」であったことからも、その価値を感じさせます。この新作は、ファンにとって見逃せない一冊となることでしょう。
羽田圭介の新作も見逃せない
また、同じく「新潮」5月号には、第2回東京中野文学賞大賞を受賞した羽田圭介さんの中篇小説「その針がさすのは」も掲載されています。この作品では、夫婦が不妊治療に奮闘する姿を描きつつ、奔放な同級生がその生活を波乱に満ちたものにしてゆく様子が描かれています。背景として中野の再開発が絡むなか、男たちの内面的な葛藤が浮かび上がります。こちらもぜひチェックしてみてください。
新潮の歴史と役割
「新潮」は1904年に創刊され、百年以上の歴史を持つ文芸誌です。その存在は日露戦争当時にまで遡り、現存する商業文芸誌としては世界で最も古いとも言われています。貴重な才能を持った作家たちの作品を次々と発表してきたこの雑誌は、今もまた新しい文学を生み出しているのです。
総括
村上春樹の最新作「武蔵境のありくい」と羽田圭介の「その針がさすのは」が掲載された「新潮」2025年5月号。文芸界の現在と未来を感じる貴重な号となっており、必読の巻となっています。これを機に、ぜひ本作を手に取ってみてください。
【雑誌データ】
- - 雑誌名: 「新潮」2025年5月号
- - 発売日: 2025年4月7日(月)
- - 定価: 1,200円(税込)
- - URL: 新潮社公式サイト