上村裕香の衝撃デビュー作『救われてんじゃねえよ』
「女による女のためのR-18文学賞」において、待望の新人作家・上村裕香(かみむら・ゆたか)が、そのデビュー作『救われてんじゃねえよ』で大賞を受賞した。この作品は発売前から話題となり、著名な作家や漫画家からの絶賛コメントが相次いで公開された。
作品の概要とテーマ
『救われてんじゃねえよ』は、17歳の女子高生・沙智を主人公にした衝撃的な物語である。沙智は、難病を抱える母の介護をしながら高校生活を送っており、その日常は決して楽なものではない。物語は、3つの短編から構成されており、各編は沙智の成長と葛藤を描いている。
- - 第一編:救われてんじゃねえよ では、沙智の日常が淡々と描かれ、彼女の心の叫びに迫る。
- - 第二編:泣いてんじゃねえよ では、大学生になっても続く母の介護から逃れられない彼女の苦悩が描かれている。
- - 第三編:縋ってんじゃねえよ では、親元を離れTV制作会社に就職した沙智が迎える新たな出発が描かれる。
この作品は、母親を支えることがどれほど過酷なことかを読者に強烈に示し、感情の一端を丁寧に描いている。新進気鋭の上村氏の筆力が、多くの読者の心を揺さぶっている。
絶賛コメント
著名な作家や漫画家たちから送られたコメントも話題を呼ぶ中、特に心を打たれる内容が多い。以下にいくつか抜粋する。
- - 窪美澄(作家)は、「『救われてんじゃねえよ』というタイトルの中に、書き手の衝動と読み手の絶叫が見え隠れしている」とし、上村の文才を讃えた。
- - 東村アキコ(漫画家)は、「主人公の父親がカメラを買ってくるエピソードに打ちのめされた。何度も読み返したくなる作品だ」と述べ、選考会での印象深さを語った。
- - 柚木麻子(作家)は、「我々の想像力をメッタ刺しにする迫力がある。メディアで報じられる悲劇が当事者にとっての現実であるという認識を強める」と、そのテーマの深さに感銘を受けた様子を語っている。
著者のプロフィール
上村裕香さんは2000年に佐賀県で生まれ、現在は京都芸術大学大学院に通う24歳の学生である。彼女は現在、「近現代文学におけるケア表象」など、メディア論を研究中。デビュー作『救われてんじゃねえよ』がR-18文学賞を受賞したことで、今後の活躍が一層期待される。
特設サイトとカバー装画
新潮社では、特設サイトを開設し、受賞作の1篇を無料で試し読みできるようになっている。ぜひチェックして、この衝撃作を体験してください。カバー装画は、新進イラストレーターの水本さきのさんが手掛けており、主人公・沙智の瑞々しい表現が印象的だ。著者上村さんもその出来栄えに「めっちゃ、沙智!」と驚きを隠せない様子だ。
この作品は、今までにない視点から描かれた物語である。上村裕香さんの才能に注目し、ぜひ彼女の作品に触れてほしい。次世代の文学界に期待が高まる。
書籍データ
- - タイトル:救われてんじゃねえよ
- - 著者名:上村裕香(かみむら・ゆたか)
- - 発売日:2024年4月16日
- - 定価:1,540円(税込)
- - ISBN:978-4-10-356231-3
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慌ただしい現代社会において、救われない現実を生きる人々の声を届ける本作。どうぞご期待ください。