中田豊一が提案する新しい質問術
『「なぜ」と聞かない質問術』という著書が、2025年3月5日に出版される。その著者である中田豊一氏は、長年にわたり開発途上国支援に携わってきた経験をもつ対話のプロである。本書では、コミュニケーションにおける「事実質問術」の重要性が説かれており、特に仕事や教育現場において役立つノウハウをご紹介する。
賢い人の質問方法
多くの人は、何か問題が起こった際に「なぜ?」と問いかけがちだが、このアプローチは必ずしも最適ではないと中田氏は指摘する。例えば、部下がミスをした場合に「なぜミスをしたのか?」と尋ねると、部下はいわゆる「思い込み」に基づく答えを返すことが多く、その結果、誤った問題認識に繋がりがちだ。そこで提唱されるのが「いつ」とか「何度」といった具体的な事実を尋ねること。これが「事実質問術」である。
事実質問術とは
事実質問術は、対話者が互いの認識のズレや思い込みを排除する手助けをする方法論である。これを用いることで、相手の答えはより客観的になり、効果的なコミュニケーションが育まれる。この手法は、特に異なる立場にある人々の対話において、より顕著な効果を発揮する。
中田氏自身も、40年以上もの間、国際協力の現場で多様なバックグラウンドを持つ人々と対話してきた経験から、この方法を確立した。相手の解釈や思い込みを超えて、真の意図や理由にたどり着くための技術として、この「事実質問術」は非常に有用である。
実際の対話例
著書には具体的な対話例も示されており、例えば上司と部下の間でのやりとりが紹介されている。ある部下が「ミスが続いている」と悩んでいる場面で、「なぜ?」と聞くのではなく「何をミスしたのか?」と尋ねることで、より具体的な問題が明らかになる。聴き手が具体的な事実を問うことで、相手の思考が整理され、誤った思い込みから解放されるのである。
誰にでも役立つ
この本で紹介される「事実質問術」は、コンサルタントや営業職、教育者、カウンセラーなど、幅広い職業の人々に役立つ内容となっており、質問力を高めるための実践的なテクニックを学ぶことができる。
中田氏の提唱するこの新たなアプローチにより、私たちのコミュニケーションをより豊かにし、問題解決のスピードを上げることができるだろう。モチベーションを上げ、仕事の生産性を向上させるために、大いに参考にしたい一冊である。
書籍情報
- - タイトル: 『「なぜ」と聞かない質問術』
- - 著者: 中田豊一
- - 定価: 1,804円(税込)
- - 発売日: 2025年3月5日
- - 発行: ダイヤモンド社
本書は、対話のプロとして知られる中田氏が40年の経験をもとに提案する新しいコミュニケーション技術であり、今後さまざまな場面でその技の価値を実感することができるだろう。ぜひ手に取ってみてほしい。