戦後80年の歴史を考える
2025年6月24日、ノンフィクション作家の保阪正康氏による新著『軍国主義という病がひそむ国保阪正康講演録』が発売されます。この本は、2021年から2024年まで毎年8月に行われた東京新聞主催の講演会「ニュース深掘り講座」で、氏が語った内容を再録したものです。戦後80年を迎え、改めて日本の歴史と平和の重要性を見直す機会となっています。
平和を望んだ国の歴史
今年は、310万人以上の命が失われ、多くの国々に苦痛を与えた昭和の戦争の記憶が風化しつつあります。この戦争を防ぐことができなかった背景には何があったのでしょうか。それは、戦後日本がどのような歴史を背負い、どのような教訓を学んできたのかを考える上で重要なポイントです。
新しい戦前の兆し
最近、語られるようになった「新しい戦前」というフレーズ。この言葉が指摘するように、現在の日本の安全保障政策は大きな変化を遂げています。政府が進める集団的安全保障の行使や、敵基地攻撃能力の保有などは、従来の専守防衛からの逸脱を意味します。果たしてこの国は、これまで培ってきた平和国家としての道をこれからも歩んでいくことができるのでしょうか。
教訓を活かすための歴史認識
保阪氏は過去4千人以上の戦争体験者に取材を行い、昭和史の実相に迫ってきました。その中で、平和を築くためには何が必要で、私たちがどのような行動を取るべきなのかを問いかけています。この講演録には、彼の深い洞察が込められており、歴史を学ぶことの重要性が再認識される内容となっています。
各章の内容
本書は、以下のような構成で、戦後80年を迎えた現代においての「歴史の学び」を考察しています。
1.
まえがき:今こそ求められる「歴史を学ぶ謙虚な姿勢」
2.
2024年:新しい戦前にしないために戦後80年を前に学ぶべき教訓
3.
2023年:形骸化した専守防衛の先は
4.
2022年:ウクライナ戦争と昭和史
5.
2021年:あの戦争から何を学ぶのか
6.
年表:近現代の日本が歩んできた道
7.
あとがき
この本を通じて、私たちは平和国家としての道を守るために何をするべきなのかを考えることが求められています。歴史を学ぶことは単なる過去の振り返りではなく、未来を見据えた重要な作業であることを、保阪氏は訴えています。
保阪正康の経歴
保阪正康氏は、1939年に札幌市で生まれ、その後同志社大学文学部を卒業。朝日ソノラマで編集者を経て、1972年にノンフィクション作家としてデビューしました。徹底した取材を通じて、昭和史に隠された真実に迫り続け、2004年には菊池寛賞を受賞しています。
書籍情報
- - 発売日:2025年6月24日
- - 仕様:四六判並製180ページ
- - 価格:1,650円(本体1,500円+税)
- - ISBN:978-4-8083-1114-8
- - 発行元:東京新聞(中日新聞東京本社)
- - 公式サイト:東京新聞
この本を手にすることで、読者は歴史に対する新たな視点を得るとともに、未来への道を考えるきっかけになることでしょう。