幻の切り絵画文集「原爆ヒロシマ」が43年ぶりの復刻
今年、広島への原爆投下から80年を迎えるにあたり、潮書房光人新社が幻の絵画文集『原爆ヒロシマ』を43年ぶりに復刻しました。本書は著者である寺尾知文が自身の体験を基に描いた、原爆投下直後の惨状を切り取った作品です。これまで品切れで入手困難だったため、復刊を心待ちにしていた読者も多かったようです。
寺尾知文は1917年に兵庫県で生まれ、日本の戦後において著名な漫画家としても知られていました。彼の作品の中でも特に印象的なのは、この『原爆ヒロシマ』で、一本の刀で切り取られたようなシャープなラインが特徴的な切り絵によって、原爆がもたらした悲劇を力強く表現しています。
著者は、救援活動のために原爆が落とされた直後の広島に入った陸軍兵士として、目の当たりにした衝撃的な光景を描写しています。「にんげんのつくりあげた生き地獄」という言葉が示す通り、そこで目撃した光景は想像を超える凄惨さでした。兵士としての視点から語られる内容は、歴史的な証言であり、また芸術作品でもあります。
復刊が決まると、そのニュースは6月から8月にかけて、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、神戸新聞などの主要メディアで広く取り上げられました。これにより、書籍への関心が高まり、多くの読者から反響を受けています。
特に学校教育の分野では、「平和教育の一環として活用したい」という声が多く、複数の中学校で教材としての使用が検討されています。担当編集者は「原爆の実体験をプロの画家が描いた作品は非常に貴重である。絵を通じて伝わる苦しみや痛みを未来の人々にも感じ取ってほしい」と語っています。
本書の体裁はA5判の横綴じで、104ページにわたる内容が収められています。価格は2420円(税込)となっており、ネット販売も行われています。興味のある方は、ぜひ以下のリンクからチェックしてみてください。
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復刻した『原爆ヒロシマ』は、単なる書籍ではなく、歴史を学び、平和を考えるための重要なツールとしての役割を果たすことでしょう。多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。