三国港の歴史を描く開化絵
福井県坂井市の龍翔博物館で行われている特別展「文明開化の華~龍翔小学校とエッセル堤~」にて、新たに発見された引札が注目を集めています。この引札は、明治前期の三国港を象徴する文明開化の様子を描いた貴重な資料であり、多くの来訪者がその魅力に触れています。
引札の魅力
今回見つかった引札には、三国港のシンボルである五層八角形の「龍翔小学校」と、オランダ人技師による「エッセル堤」が描かれています。これらの建物は、かつての三国港の開化を物語る重要な存在です。この引札が特に貴重とされる理由は、保存状態が非常に良好であり、制作された年も1882年から1888年にかけてであることが特定されているからです。
引札は和紙に木版で多色刷りされており、その美しいデザインは当時の港町の活気を伝えます。九頭龍川河口に広がる港には、立ち並ぶ蔵や、大型汽船が入港する様子が描かれ、右手には龍翔小学校がそびえ立つ姿が見受けられます。また、左手にはエッセル堤が描かれており、開化の進展を強調しています。更には、シルクハットをかぶった男性や、こうもり傘を持つ女性が描かれており、当時のファッションも感じ取ることができます。
龍翔博物館の特別展
特別展は12月7日まで開催されており、三国港に関連する貴重な資料や写真が展示されています。展示内容は約60点にも及び、明治前期の北陸における三国港の開化の様子が詳細に紹介されています。また、展示会では先に見つかっている2つの引札も同時に展示されており、保存状態も良く、来館者は比較して見ることができます。
特に、この引札は福井県南越前町の個人宅で発見されたもので、所有者の祖父が長年大切に保管していたものです。東京や横浜と比較して地方の開化を題材にした資料は非常に珍しく、地域の歴史を感じる貴重な一品といえます。
開化の時代を振り返る
特別展では、龍翔小学校とエッセル堤を中心に据え、三国港の開発がどのように地域に影響を与えたのかを探ります。特に講演イベントも企画されており、12月7日には、学芸員の月僧亮我氏による「龍翔小学校にまつわるエトセトラ」というテーマでの講演が行われます。観覧料は700円で、高校生は無料です。
三国港の歴史を感じるこの特別展。未だ確認されていない歴史的な詳細や物語が隠れているかもしれませんので、ぜひ訪れてその目で確かめてみてください。興味のある方は坂井市龍翔博物館に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。