映画『火垂るの墓』に秘められた秘密
映画『火垂るの墓』は、日本のアニメ映画の金字塔として広く知られていますが、最近、新たに明らかになった「幻の脚本」がその魅力をさらに引き立てています。本書『高畑勲と「火垂るの墓」 ─「幻の脚本」と「7冊の構想ノート」を読み解く』では、その詳細に迫っています。
著者の寺越陽子さんによると、この幻の脚本は脚本家・深沢一夫さんが手掛けたもので、2016年に彼が亡くなった後、自宅から発見されました。この脚本は、野坂昭如の原作小説を基にしており、映画とは異なる視点から物語を描いていたとのことです。深沢さんの息子、勲夫さんが初めて脚本を目にした際の感慨も紹介されており、父親の作品に対する新たな理解を得る瞬間が描かれています。
脚本の内容を読み解く
本書は、深沢さんのご遺族へのインタビューを通じて、脚本の内容と原作小説、映画版との比較を行いながら、名作創出の背景を探る試みがなされています。深沢さんが書いた「幻の脚本」が映画にどのような影響を与えたのか、その意図や意思がどのように反映されているのかが、この本を通じて明らかになっていきます。
劇場公開時のフィルムの発見
さらに興味深いのは、劇場公開時に間に合わなかったフィルムの発見です。このフィルムは、色付けがされていない線画のままで公開された場面が含まれており、非常に貴重な資料として位置付けられています。6月17日にはNHKの「おはよう日本」でその詳細が取り上げられ、作品研究者からも「非常に貴重な情報」として注目されています。
寺越さんがこのフィルムを初めて見た際、その淡い色合いと線画の強調が、映画の特異な表現スタイルを際立たせていたことを示しています。
制作秘話も盛りだくさん
さらに、本書では映画『火垂るの墓』の制作時に聞かれた秘話も多く紹介されています。演出助手の須藤典彦さんが高畑監督から「凄く念入りに」時代考証をするよう指示を受けたエピソードなど、制作の裏側に迫る貴重な取材が含まれています。また、いくつかの音響効果を得るために須藤さんが焼夷弾の筒を購入したという、驚くべき逸話も紹介されています。
今後も映画『火垂るの墓』はNETFLIXで配信予定であり、視聴者はこの新たな視点からも作品を楽しむ機会が与えられます。この新刊を通じて、観る者に新たな感動と理解をもたらすことが期待されます。
書籍情報
『高畑勲と「火垂るの墓」 ─「幻の脚本」と「7冊の構想ノート」を読み解く』は、寺越陽子著、新潮社から2026年6月24日に発売されます。224ページで定価1980円(税込)と手頃な価格。アニメーションの名作をさらに深く味わいたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。