豪雨災害を乗り越えた町の希望の象徴
岡山県高梁市の象徴である備中松山城に出現した一匹の迷い猫が、町を救った実話を描いた児童書『猫城主になったさんじゅーろー』が、ハート出版から刊行されます。この書籍は、単なる猫の物語ではなく、2018年7月に発生した西日本豪雨からの復興の過程を描くノンフィクションです。
豪雨の影響と町の復興
平成30年7月、西日本豪雨は多くの地域に大きな被害を及ぼしました。高梁市も例外ではなく、浸水によって市民の生活が困難となり、国指定の重要文化財である備中松山城も一時閉城を余儀なくされました。観光客は激減し、地域経済に深刻な影響が出ました。
町の復興を支えるために、観光協会の職員や城の管理者たちは必死に復旧作業を行い、観光の再生に向けて努力を続けましたが、打開策は簡単には見つからない状況でした。そんな暗雲の中、ある日、山頂の備中松山城に茶白の猫が姿を見せました。
町に現れた救世主
この猫は、まったく人を恐れず、登城する人々に近寄り、甘えることができる愛らしさを持っていました。その姿は、豪雨で沈んだ町の人々の心に少しずつ明かりを灯し始めます。猫は「さんじゅーろー」と名付けられ、瞬く間に地域のアイドルになりました。彼に会うために人々が城を訪れ、観光の目的が「天守を見ること」から「さんじゅーろーに会うこと」へと変わっていったのです。
SNSやメディアでその愛情あふれる姿が紹介されると、全国から猫好きや歴史ファンが訪れるようになり、観光客の数はV字回復を遂げます。
猫がもたらす感動
著者の西松宏氏が備中松山城を訪れる中で、さんじゅーろーの存在が単なる人気の猫でないことに気づきます。彼に会ったことで涙を流す人々や、愛猫を思い出す人々の姿に、彼の存在がどれほど多くの感情を引き出すのかを感じたと語っています。この本は、猫好きだけでなく、家族や愛、命の大切さ、人とのつながりを描く感動の物語です。
希望のメッセージ
西松氏は、さんじゅーろーの人生を「コインの表と裏」に例え、苦しい出来事があったからこそ彼が猫城主として多くの人々に笑顔をもたらせたのだと述べます。「つらく悲しい出来事の裏には、喜びや希望、チャンスが隠れている」という普遍的なメッセージが込められており、子どもたちにも力強く伝わることでしょう。
リニューアルされた名作
本書は、2019年に刊行されたフォトブックを基にし、さらに新しい第6章を追加した新装版です。コロナ禍による来場者の減少や、さまざまな状況の変化を経た現在のさんじゅーろーの姿を描き出しています。
読む人の心に響く一冊
児童書という枠を超え、すべての世代に感動を与えるこの物語は、復興に向かう人々の姿や命の尊さ、そして逆境から前へ進み続ける力を伝える一冊です。読後は実際に備中松山城を訪れ、猫城主・さんじゅーろーに会いたくなることでしょう。この作品は、読む人々に新たな体験を提供することを目指しています。
書籍情報
- - 書名:『猫城主になったさんじゅーろー』
- - 著者:西松宏
- - 出版日:2026年7月28日
- - 価格:1600円(税別)
- - ISBN:978-4-8024-0250-7
- - 発行:ハート出版
- - 商品URL:こちら
著者について
西松宏(にしまつひろし)は児童書作家、写真家、フリーランスライターであり、関西大学社会学部を卒業後、様々なメディアでの取材を続けてきました。彼のテーマは「人と動物の絆」であり、多くのの著書を執筆しています。