松家仁之の傑作『光の犬』がついに発売！100年の家族の物語

松家仁之の新作小説『光の犬』が発売

松家仁之氏の新刊『光の犬』が3月28日に新潮文庫から刊行されました。この作品は、北海道の小さな町で育まれる家族の物語であり、百年にわたる人々の営みとその背後にある思いを丁寧に描いています。松家のデビュー作『火山のふもとで』や、続編『沈むフランシス』に続く、彼の文学世界の最新作となります。

壮大な家族の歴史を一冊に

『光の犬』では、添島家という一族の百年の歴史が語られます。物語は、助産婦だった祖母、父母や独身の三人のおばたち、はたまた自由闊達な姉・歩や気難しい弟・始といった、個性豊かな登場人物たちによって紡がれます。それぞれの家庭環境や人間関係が描かれる中で、彼らの幸福と葛藤、そして人間的な弱さがリアルに浮き上がります。

主人公たちは、厳しい自然環境の中で生活をしながら、過去の思い出を撒き散らし、未来への希みを抱えています。一族の姿は時に儚く、時に力強く、読者の心に染み込むような深い余韻をもたらすでしょう。家族や個人の物語が交錯し、何世代にもわたる時間の流れが見事に描かれています。

解説者の視点

本作の解説を行った江國香織氏は、個人や家族、さらには自然との共生といったテーマに焦点を当てています。彼女は、物語の中からいくつかのポイントを掘り下げ、その魅力を読者の視点から丁寧にテクスチャしています。松家氏自身の特別エッセイも、シリーズの他の作品と合わせて楽しめる内容となっています。

新宮殿の建設を背景にした新作

また、松家氏は『光の犬』に続く新たな長編小説『天使の踏むも畏れるところ』も3月26日に発売しました。この作品では、建築家である村井俊輔が『火山のふもとで』に登場したキャラクターとして、新宮殿建設の背景を描いていきます。時代は関東大震災後から高度成長期までにわたり、社会の激動の中で人々がどう生きてきたのかが描かれます。