文豪坂口安吾の作品が再発見される
株式会社深水社が新たに公開した文豪稀少作品発見サイト「漱アーカイブ」が注目を集めています。このプロジェクトは全国各地に眠る文豪の未書籍化・未収録作品を調査、編集、保存し、未来に継承する取り組みです。その第一弾として、坂口安吾による未収録の短篇『盗まれた一萬円』が初めて書籍化されました。この作品は1933年に発表されたもので、安吾自身が26歳の時に執筆した探偵小説です。
漱アーカイブの目的と機能
漱アーカイブは、近代文学研究において書籍化される機会が限られ、適切に保存されてこなかった稀少な作品に光を当てることを目指しています。サイトでは以下のような機能が提供されています。
- - 稀少作品の申請受付
- - 調査や編集・データ化
- - 保存と公開
- - 書籍化
これにより、文化的価値の高い作品を確実に後世へと受け継いでいくことを目指しています。また、文学作品を地域文化の資源として活用し、地域活性化にも寄与する計画です。加えて、最初の作品となる『盗まれた一萬円』は、2025年11月12日から神奈川近代文学館の特別展「没後70年 坂口安吾展」で会場限定販売されます。
特別収録の魅力
『盗まれた一萬円』は坂口安吾の全集にも収録されていない貴重な作品で、ただのミステリーではなく、作家の人生や風景を感じることのできる文字の宝物とも言えます。収録作品としては、
- - 盗まれた一萬円
- - ふるさとに寄する讃歌
- - 黒谷村
- - 逃げたい心
が含まれており、解説は実践女子大学の大原祐治教授が担当しています。
書籍情報もチェック
新しく書籍化された『盗まれた一萬円』の情報は以下の通りです。
- - 定価: 5,995円(本体: 5,450円)
- - 発行日: 2025年10月20日
- - ISBN: 978-4-911556-00-9
- - 判型: 四六判/上製本/136ページ
特別展では、会場限定で特別価格の5,000円(税込み)で販売される予定です。この機会にぜひ神奈川近代文学館を訪れ、『盗まれた一萬円』を手に取ってみてください。
今後の展開
深水社は、本プロジェクトを通じて文学研究者や自治体、文学館との連携を進め、全国に存在する文豪の未収録・未書籍化作品を発掘し、適切に保存、データ化し続けます。更に、地域の文化振興にもつながるような取り組みを行い、文学の力で地域を活性化していくことを目指しています。
このように、漱アーカイブの活動は文豪作品の再発見から地域文化の振興に至るまで、多岐にわたる意義を持っています。文学の新しい可能性を探る熱い取り組みに、今後も注目していきたいと思います。