企業文化のアップデートが求められる時代、総務の役割とは？

企業文化の重要性が広く認識される中、株式会社月刊総務による調査が明らかにしています。最近のアンケートでは、約9割の企業が自社の企業文化をアップデートする必要性を感じており、その最大の課題が「経営層と従業員の意識の乖離」であることが判明しました。430名という多くの企業からの回答が、今後の企業戦略に不可欠な視点を提供しています。

調査結果の概観

調査の結果、94.8%が企業文化のアップデートが「とても重要」または「やや重要」としており、88.9%が自社の文化のアップデートが「とても必要」または「やや必要」と感じています。この背景には、現代社会において企業が競争力を保つためには柔軟な変化が求められ、多くの企業がその必要性を実感していることが挙げられます。

必要性を感じる理由

多数の回答者が、自社が変化の激しい環境に適応するためには企業文化の見直しが不可欠だと述べています。特に、若い人材にとって魅力的な企業であるためには、過度の伝統への固執を避け、時代に合った文化を築くことが重要です。さらに、企業は変革を受け入れ、内部の求心力を維持する必要があると強調されています。

企業文化の現在の特色

調査では、経営層と従業員間のコミュニケーションの円滑さや、社員の成長を支援するトレーニングプログラムの重要性も指摘されました。しかし同時に、残業が善とされる文化や、権限と責任のあいまいさが問題視されています。これらの要素が評価されずに昇進するケースも散見され、組織文化全体の健全性に影響を及ぼしています。

総務の役割とスキル

企業文化のアップデートにおいて、総務部門が担う役割は大きいです。71.3%の回答者が社内コミュニケーションの促進が最も重要であるとし、続いて人材育成や企業理念の浸透が挙げられています。成功するためには、コミュニケーション能力、変革推進力、分析力が求められるとされています。

アップデートの課題

文化のアップデートにおいて最も多く挙げられた課題は、68.4%の企業が感じる「経営層と従業員の意識の乖離」であり、施策の効果測定の難しさも問題とされています。さらに、約30%の企業が何も実施していない現状も浮き彫りになりました。

施策の実施状況

企業文化のアップデートに取り組んでいる施策として、社内表彰制度や従業員満足度調査の実施が挙げられていますが、多くの企業がその実施に消極的です。一方で、定期的な全社ミーティングが最も高い効果を実感されている施策として挙げられています。

今後の展望

全体として、企業文化は単なる雰囲気ではなく、企業の戦略的な資産として位置付けられています。この文化が従業員のエンゲージメント向上や離職率低下に寄与することが多くの企業の共通認識となっていることは希望の持てる要素です。しかし、文化の形成には経営層と従業員の間の継続的な対話が必要であり、総務部門がこの対話を促進することが求められます。

今後はオフラインだけでなく、デジタルツールを駆使したコミュニケーションが一層大切になってくるでしょう。従業員一人ひとりが企業文化の一部であることを実感し、貢献できる環境作りが進められ、文化の根付いた組織づくりが期待されます。