世界が絶賛する新たなサイレント絵本『きんつぎ』
2024年において最高の児童文学として、ボローニャ・ラガッツィ賞のフィクション部門で最優秀賞を受賞した『きんつぎ』が、2月20日(木)に発売されることが発表されました。本書は、作家イッサ・ワタナベによって描かれ、柴田元幸による詩の翻訳が添えられた、サイレント絵本です。そのストーリーは、言葉を必要とせず、全てがイラストによって語られます。ここでは、この作品の魅力について詳しく紹介します。
喪失と回復の物語
『きんつぎ』は、壊れた陶磁器を金継ぎで修復する日本の伝統工芸にインスパイアされた物語です。物語の主人公は、小鳥と突然の別れを経験したうさぎであり、その後続く喪失感を抱えた旅を描いています。ページをめくるたびに、うさぎの心の内が深く表現され、読者は彼と共に喪失の世界へと誘われることでしょう。
この作品では、別れの切なさや失ったものへの想いが巧みに描写され、感情の揺れ動きに誠実に寄り添います。特に、本書はただつらさを描くのではなく、希望の光を見出す力強さも併せ持っています。喪失の後に必ずやってくる新しい一歩へと、私たちを導いてくれます。
深いメッセージと詩の力
巻末には、エミリー・ディキンソンの詩「“Hope” is the thing with feathers」が掲載されています。この詩は希望をテーマにしており、どんな時でも希望を持つことの大切さが語られています。物語の中での喪失は、その苦しみを経て、次への歩みを促す重要な要素であり、詩もまたその感情を強めています。
ボローニャ・ラガッツィ賞とは
ボローニャ・ラガッツィ賞は、世界で最も権威のある児童文学賞の一つとして知られています。この賞は、子供向け書籍の見本市として名高いボローニャ・ブックフェアで、著者や編集者、装丁の全てを評価し、総合的に優れた書籍に授与されます。本書『きんつぎ』が受賞したことは、世界中の絵本ファンから注目を集める要因となっています。
日本語版限定の特典
『きんつぎ』は、日本語版限定で作者イッサ・ワタナベによる特別なあとがきと、カバーに箔押しを施しています。これにより、デザイン性も高まり、贈り物にも最適な仕上がりとなっています。用紙の選定にもこだわり、作品の持つ美しさを最大限に引き出した一冊です。
作者プロフィール
イッサ・ワタナベは1980年にペルーのリマで生まれ、日本にルーツを持つ作者です。現在はスペインのマヨルカ島に在住し、18か国で作品が出版されています。特に社会統合プロジェクトを多数主宰しており、アートを通して移民の社会統合を助ける活動にも力を入れています。彼女の作品は、ダイナミックで色彩豊かと評判です。
結論
本書『きんつぎ』は、喪失をテーマにした心に響く一冊です。サイレント絵本という特殊な形式を持つため、読者は各自の解釈でストーリーを深く味わうことができます。皆さんもこの美しい物語に触れ、希望を再確認しませんか?