リトアニアから来た現代オペラの新たな風
2023年9月25日、ロームシアター京都にてリトアニアの現代オペラパフォーマンス『HAVE A GOOD DAY!』が日本初演を迎える。この作品は、ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞した3人の才能あふれるアーティスト、ヴァイヴァ・グライニテ(台本)、リナ・ラペリテ(作曲・音楽監督)、ルギーレ・バルズジュカイテ(演出・美術)によって生み出されたものである。彼女たちは、日常の消費社会を描写したこの作品を通じて、観客に労働の意味や人間の存在について考えさせる。
スーパーマーケットを舞台にした消費社会の問いかけ
『HAVE A GOOD DAY!』は、現代のスーパーマーケットを舞台に構成されている。無機質な言葉や作り笑いを繰り返す10人の店員たちの裏に潜む感情に焦点を当てている。「10人のレジ係、スーパーマーケットの音、ピアノのためのオペラ」という副題が示す通り、演出は非常にミニマルで、消費の対象となる商品そのものは描かれない。代わりに、蛍光灯の明滅やスキャナのブザー音が観客の想像力を刺激し、音響と視覚が織り成す不思議な体験が展開される。
社会の断面を映し出す歌とアリア
作中に登場するアリアの数々は、現代社会を生きる人々の姿を象徴している。不安を抱える「新人」、異国での生活を余儀なくされる「移民の母」、日々の忙しさに追われる「シングルマザー」、そして精神的な危機に陥っている「美術批評家」。彼らの独白は、切実でありながら淡々としており、それぞれの物語がモザイクのように織り交ぜられ、観客の心に響く。舞台では、警備員のピアノが静かにメロディを奏で、個々のドラマを引き立てている。これにより、労働や消費の現場を舞台で描くことで、現代の社会について深い疑問を投げかける作品となっている。
ジョナス・メカスの絶賛を受けた一作
この作品を評価したのは、リトアニアの映画作家であるジョナス・メカス。「まるで小さい傑作のようだ」と称賛し、その堅実でシンプルな構成について「削ることも加えることも不要」と述べている。観客に現代社会の矛盾や美しさを通じて考えさせる、本作のメッセージは非常に力強い。
公演詳細
『HAVE A GOOD DAY!』の公演は、9月25日と26日の2日間にわたり、サウスホールで開催される。上演時間は約55分で、上演はリトアニア語、字幕は日本語と英語が用意されている。チケットは一般6,000円、ユース(29歳以下)3,000円、18歳以下は1,000円とリーズナブルな価格設定となっている。特に託児サービスも用意されており、小さなお子様連れの方でも安心して楽しむことができる。
最後に
リトアニア出身の3人の女性アーティストによるこの共作は、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にし、観客に新しい視点を提供する。彼女たちの活動は、世界中のフェスティバルにも取り上げられ、注目を集めており、舞台芸術に新しい風を吹き込むことでしょう。ぜひ、この機会に『HAVE A GOOD DAY!』を観劇し、彼女たちの世界観を体感してほしい。