2026年5月14日、第39回山本周五郎賞の選考会が行われ、蝉谷めぐ実の著書『見えるか保己一』がこの栄誉に輝きました。本作は、株式会社KADOKAWAより2026年3月13日に刊行され、多くの文学ファンから注目を集めています。この受賞に際し、選考委員長を務める小川哲氏は、『見えない人になにが見えているか』というテーマを扱った作品の独自性を絶賛しました。彼はまた、伝記という枠を超え、塙保己一の内面や彼を取り巻く人々との関係を深く描写した点を強く評価しました。
蝉谷氏自らも受賞について喜びの声を寄せ、「書き方、考え方がこれまでとは異なっていた」と振り返りながら、執筆過程における苦労と新たな挑戦を語りました。本作は、江戸時代後期に生きた全盲の国学者・塙保己一を主人公に、彼の学問に賭けた情熱や周囲とのすれ違い、そしてそのことから生まれる苦悩を生き生きと描写しています。
物語は、塙保己一が失明してからどのようにして学問を志し、国内最大の叢書である『群書類従』の編纂に挑んでいくのかという壮大なテーマを持っています。しかし、その背後には彼の孤独や、晴眼者たちとの間に生じるすれ違いが描かれ、感情に重みを加えています。選考委員たちから寄せられたコメントにもあるように、「見たいものの裏にある見たくないもの」や「分断の物語」としての側面は、作品の深いテーマ性を感じさせます。
受賞の贈呈式は6月に予定されており、選考経過については「小説新潮」の7月号に掲載される予定です。受賞の詳細に関心がある方は、こちらのリンクから全貌を確認できます。また、著者の蝉谷めぐ実は、これまでも数々の受賞歴を持つ実力派作家であり、本作は彼女にとって初めての歌舞伎以外を題材にした長編作品です。
さらに、『見えるか保己一』は電子書籍形式でも同日刊行予定で、来春にはオーディオブックもリリースされることが決定しています。ナレーションは三好翼氏が担当し、約12時間にわたる壮大な物語を楽しむことができるでしょう。
著者のプロフィールを振り返ると、彼女は1992年に生まれ、早稲田大学で学術的な背景を持ち、2020年にデビューを果たしました。その後も短期間で多くの賞を受賞し、作家としての地位を確立しています。『見えるか保己一』は、その新たな試みとして、これまでにない塊の感動を与える作品となっています。
読者の皆さんにはぜひ本書を手に取り、その魅力を味わってほしいと願っています。蝉谷めぐ実の新たな代表作が、どのように響くのか、心待ちにしながら。