ラーメン店の経営危機が続く
株式会社帝国データバンクが発表した調査によると、2024年のラーメン店倒産件数は過去最多の72件に達し、前年の53件から急増しています。これは前年比で3割以上の増加で、ラーメン業界にとって深刻な状況を示しています。
原因はコスト高と価格転嫁の難しさ
倒産の主な原因は、原材料費の高騰に加え、経営者たちが抱える価格転嫁の難しさです。人件費や光熱費といった経費が上昇する一方で、ラーメン一杯の価格はなかなか上げられず、経営が厳しくなっているのです。特に「ラーメン1杯=千円の壁」が大きな影響を与えています。実際、2023年度のラーメン店の業績を見ても、33.8%の店舗が赤字経営を強いられています。これは過去20年の中でも非常に多い数値で、コロナ禍の影響が引き続き尾を引いていることを示しています。
暖まり続けるラーメン人気も裏目に
ラーメンの人気は依然として高く、訪日外国人による需要増加もあったにもかかわらず、原材料価格の上昇はその利点を消し去っている状況です。2024年の時点で、ラーメンに使用される原材料のトータルコストは前年度比で1割以上増加し、豚肉や海苔、メンマなどの価格が大幅に引き上げられました。しかし、ラーメンの平均価格は依然として700円を下回っており、安価な日常食としてのイメージが強く、トッピングなしで1000円を超えることは客足を遠ざける要因になっています。
今後の展望
このように、ラーメン店業界は他の業種に比べて価格上昇が難しく、特に中小の店舗においては今後も倒産増加の傾向が続く懸念があります。業界全体での価格転嫁が難しい中、成功する店舗が目立つ一方で、経営危機に陥る店舗も増え続けているのが現状です。
ラーメン店の経営状況は、他の飲食業界と同様、厳しい環境が続いています。今後の業界の再生には、価格設定の見直しや新たなビジネスモデルの導入が急務となるでしょう。個々の店舗が生き残るために、新たな戦略を求められる時代といえます。