「ヨイコドモ」復刻版が大切な教えを今に伝える

教育の根本を考える「ヨイコドモ」復刻版

『ヨイコドモ』、このタイトルを耳にしたことがある人も少なくないでしょう。戦時中に小学校1、2年生が使っていた修身教科書の復刻版が、2020年に出版されたこの書籍は、今もなお子どもたちに必要な価値観を伝える貴重な教材として注目されています。

本書には、日常生活での何気ない出来事を通じて教えられる「日本人としてのあり方」が描かれています。子どもたちは、親や先生の言うことをよく聞くこと、他の人に迷惑をかけない行動、礼儀を重んじる心構えなどを学びます。また、困っている人を見過ごさず手を差し伸べること、弱者を守る強さを求める知恵、そして日本にとって大切なものとして皇室や日の丸、お米の重要性も強調されています。

この貴重な教科書は、小さな子どもたちが楽しく理解できるように、優しい絵と簡潔な言葉で構成されています。そのため、小さな子どもでも無理なく価値観を理解し、自らの行動の指針とすることができるよう配慮されています。

さらに、「孝行」「敬師」「誠実」「勤勉」「勇気」「忍耐」「博愛」といった古くから日本に根ざした教えは、実はどの国、どの時代においても重要な価値観であることを示しています。これは日本の文化的背景を支える基盤でもあり、その後の人生においても大きな糧となることでしょう。

また、本書では衛生管理や日常生活の健康管理についても重要視しています。「病気になったら親に心配をかけてしまう」という子どもたちの理解を促し、健康的な暮らしの重要性が描かれています。新型コロナウイルスが社会問題となる中、過去から続くこの教育は、現代においても意味を持っています。日本が感染拡大を抑えられた背景には、こうした教育が影響しているのかもしれません。

戦時中の教科書ということで少なからず「戦の影」が感じられる部分もありますが、だからといって「修身教育」が一概に否定されるのは非常に残念です。このような価値観を後世に伝える重要な教材として、復刻版はこの時代にこそ必要なものと言えるでしょう。令和の時代を迎え、日本の大切な価値観を子どもたちに再び伝えるための道具として、本書が活用されることを願うばかりです。