福利厚生制度が抱えるニーズとのギャップ
株式会社月刊総務が全国の総務担当者を対象に実施した「福利厚生についての調査」によると、約6割の総務が福利厚生と従業員のニーズとの間にギャップを感じていることが分かりました。この調査は143名からの回答を基にしており、現実の職場環境の変化と従業員の期待に対する企業の対応が求められています。
調査結果の主なポイント
- - ギャップの認識: 61.6%の総務が福利厚生が期待通りに機能していないと感じています。物価高による生活直結の支援が求められているものの、提供できていない現状があります。
- - 見直しの未実施: 福利厚生の見直しを「実施していない」とする企業は32.2%に達し、また、毎年見直している企業はわずか17.5%にとどまります。
- - ニーズの把握: 3割以上が従業員ニーズを把握できておらず、制度に対する満足度やニーズを明確にする手法が必要です。
福利厚生の内容と利用状況
調査によると、実施されている福利厚生制度では「通勤手当」が93.0%で最多を占めていますが、選択型や新しい制度の導入は少ないのが現実です。特に「健康診断」や「学び支援」といった新しい施策は、推奨されているにもかかわらず利用率が低く(6.3%)、企業が推奨する制度と実際の利用状況との間に大きな乖離があります。
例えば、便宜上導入された伝統的な制度が多く、従業員の多様なニーズに応えられていないことが見受けられます。返答の一部には、導入された内容が20年前のものであることへの不安もあり、これがギャップを生む要因となっています。
福利厚生の見直し頻度とその動機
福利厚生の見直しにおいては、「社会情勢の変化」が58.7%で最多の理由として挙げられました。このことは、企業が外部環境の変化によって見直しを余儀なくされていることを示しています。一方で、定期的な見直しを行っている企業が減少している傾向もあり、従業員のニーズ変化に対して柔軟に対応できていない様子が伺えます。
また、福利厚生が「働きやすさの向上」を目的としている企業は69.9%に上りますが、これが実際にどの程度機能しているのかは疑問が残ります。
今後の取り組みと課題
調査の結果から、福利厚生がその目的を果たすためには、定期的な見直しと従業員ニーズの把握が欠かせません。アンケートや利用率分析を行っている企業は多いものの、依然として情報収集が不十分である企業が過半数存在していることから、今後の課題が浮き彫りとなりました。
福利厚生は単なるコストではなく、従業員の定着や組織活性の基盤となるものです。したがって、企業は福利厚生を単なる管理対象としてではなく、経営戦略の一環として捉える必要があります。
今後、企業は福利厚生を「どのように利用されるか」を重視し、定期的に見直しを行うべきです。それによって、「生きた施策」として機能させることができるでしょう。
まとめ
企業の福利厚生制度は多くの企業で一定の整備がされている反面、見直しやニーズ把握が著しく不足しています。総務担当者が抱えるこのギャップを解消するための具体的なアクションが、今後の人材確保と組織の成功に繋がるといえるでしょう。