岡本啓の新刊詩集『ノックがあった』が小野十三郎賞を受賞！

詩の新たな息吹を感じる岡本啓の『ノックがあった』を評価

2025年9月12日、大阪文学協会が主催する第27回小野十三郎賞の最終選考会が行われ、岡本啓氏の4冊目となる詩集『ノックがあった』が受賞作品として選ばれました。この詩集は、パンデミックや戦争、革命といった苦境に揺れる時代を背景に、詩の力で自身と社会との間に新たな通路を構築している作品と評価されています。

第27回小野十三郎賞の受賞式は、10月5日の午後2時から行われる大阪文学学校の秋期入学開講式の中で開催される予定です。岡本啓氏の受賞を祝うと共に、その作品に込められた深いメッセージに耳を傾ける機会となるでしょう。

詩集『ノックがあった』の特徴

『ノックがあった』は、岡本氏が2020年から2023年の間に書き上げた16篇の詩を収めています。彼は言葉の響きを丁寧に捉え、意味や含意を重ねることで作品を構成。特に、言葉が持つ音（言）と訓（文）という日本語ならではの特性を統合し、叙情と叙事、私と公の境界を越えた作品を創り上げています。「ヒビだらけの日々を響きでつかまえ愛する」という言葉は、彼の詩が示す希望の象徴ともいえるでしょう。

著名作家の高橋源一郎氏が推薦の言葉を寄せており、その新しい視点についても言及しています。「ワクワクしながらこの本の頁を開いた。新しいなにか、見たことのない風景が広がっている。」といった感想は、岡本氏の詩がもたらす革新性を如実に表しています。

受賞歴とこれまでの活動

岡本啓氏は、2015年にアメリカでの滞在時に執筆した詩をまとめた第1詩集『グラフィティ』で中原中也賞、H氏賞を受賞しました。続く第2詩集『絶景ノート』でも、萩原朔太郎賞を受賞し、その才能を証明してきました。2020年には第3詩集『ざわめきのなかわらいころげよ』を発表し、時代の気配を感じさせる独自の詩風を探求し続けています。

2024年には、ノーベル文学賞受賞者のハン・ガン氏も参加した文学レジデンシー「アイオワ」に招待されるなど、国際的にも活動の場を広げています。岡本氏の最新作『ノックがあった』がどのように文学界で評価されていくのか、多くのファンが注目することでしょう。

それにしても、詩は本当に素晴らしいものです。岡本氏はその重要性を「詩は人間という動物のとほうもない営みを知るきっかけを与えてくれる」と表現しています。彼の言葉に耳を傾け、詩の世界へと足を踏み入れることができるこの機会は、まさに貴重なものとなるでしょう。