音楽教育を守る会とJASRACの歴史的合意
2023年2月28日、音楽教育を守る会と一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が新しい音楽教室規定に関する合意に達したことが発表されました。この合意は、音楽文化の発展を促進し、著作権を適切に保護することを目的としたものであり、音楽教室における著作物の利用方法に明確な指針を提供します。
新規定の内容
音楽教室事業者が支払う使用料の詳細は、以下のようになります。大人の受講者一人当たりの年額は750円(税別)となり、中学生以下のこどもに関しては年額100円(税別)です。また、稀に利用する場合に対応するため、レッスン単位や楽曲単位での使用料設定も行われます。この新しい規定は、音楽の未来を守ることに重点を置いており、特に子ども向けのレッスンでは楽曲の選定に柔軟性が保たれるよう配慮されています。それに加えて、個人経営の教室は今回の規定の適用外となります。
8年にわたる議論
今回の合意に至るまでには、最高裁判所が示した著作権の範囲に関する解釈が大きな議論の対象となりました。このプロセスには2年以上の時間がかかりましたが、音楽教育を守る会の会長である大池真人氏は、音楽が人々の心を豊かにし、社会の中で重要な役割を果たしていると強調しています。彼は、音楽文化の発展には利用促進、権利者の保護、そして演奏人口の拡大が必要であり、そのために新しい法解釈と子どもたちへの配慮が実現されたことは重要なポイントであると述べました。
JASRACの取り組み
JASRACの理事長である伊澤一雅氏は、音楽教育を守る会との合意が達成されたことにより、著作権保護と利用のバランスを再確認できたと述べています。特に子どもたちが多様な音楽に触れる機会を確保することが重要であり、新しい使用料規定がこの点を支援するものであると語りました。今後、JASRACは音楽教室事業者に対して、明確なガイダンスを提供し、安心して音楽を利用できる環境を整えていく予定です。
音楽教育を守る会の成り立ち
音楽教育を守る会は、7つの音楽教育事業者が集まって2017年に設立され、JASRACによる著作権料徴収に対抗する形で、音楽教育の重要性を守る活動をしてきました。現在では、会員数が300以上に達しており、関係団体との連携を強化しながら運営されています。
経過と今後の展望
この歴史的な合意に至るまでには多くの訴訟や協議が行われました。2017年以降、音楽教室事業者がJASRACに対して提訴した一連の法的闘争は、2022年に最高裁の判決を経て新たな協議が開始され、最終的に合意に至りました。この新しい規定は、音楽教室事業者が4月から適用されることとなり、今後の音楽教育の発展に寄与することが期待されています。音楽文化は、これからも私たちの社会において重要な存在であり続けることでしょう。