沖縄の伝統楽器三線を次世代に継承する新プロジェクト始動
ヤマハ株式会社が参画する「沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―」が、公益社団法人企業メセナ協議会のメセナ活動「This is MECENAT 2025」に認定されました。このプロジェクトは、沖縄の伝統楽器である三線の継承を目的に、さまざまな領域の専門家が集い、共同で研究を進めていくものです。
プロジェクトの背景と概要
沖縄三線は、文化、音楽、そして地域アイデンティティを象徴する楽器ですが、近年、その製造や流通において多くの課題が明らかになっています。例えば、沖縄の職人が手作りした三線と、安価な海外製品との間に異なる品質を見極めることが急務です。また、職人の後継者不足や材料となる黒檀の枯渇も大きな問題になっています。これらの課題に対し、琉球大学や沖縄県立芸術大学などの専門機関とともに、科学的なアプローチで三線の特性を解明し、伝統文化を守り育てることを目指しています。
This is MECENATとは
「This is MECENAT」は、企業が芸術文化振興を目的に行う社会貢献活動を認定する制度です。このメセナ活動が認定されることで、活動の社会的意義が評価され、メセナマークが発行されるほか、公式サイトにも掲載されることとなります。近年、この取り組みは芸術文化支援にとどまらず、環境や地域活性化、福祉などの社会課題解決にも拡大しています。
2025年度の活動計画
当プロジェクトの中心は研究ですが、それだけにとどまらず、得られた成果を社会に還元することも重視されています。2025年度は、以下の2つのテーマに焦点を当てる予定です。
1.
新素材による三線パーツの製作
当社の技術を利用して新素材のパーツを試作します。これにより、材料の枯渇問題を解決するだけでなく、職人の技能伝承や後継者育成にも寄与します。
2.
レクチャーコンサートの開催
2026年3月を目指して、三線や琉球伝統文化の魅力を実演を通じて紹介するレクチャーコンサートを企画中です。このイベントは、三線文化への理解を深めるとともに、当社の活動について発信する機会となります。
これまでの主な活動
当プロジェクトでは、すでにいくつかの研究を実施しています。
1. 木材の物性調査
黒檀の資源枯渇に応じて、代替木材の選定が急務となっています。このため、当社独自の分析技術を駆使し、様々な樹種の物性を調査・評価しています。これには伝統木材だけでなく、未使用の国産木材や西洋楽器で多く使われる材も含まれます。
2. 三線のふるまい可視化
三線の楽器としての挙動を科学的に解明し、材料選定や製作技能の基準を設定することを目指しています。特に、職人の繊細な調整技術を可視化する試みも行っています。
3. 音色の表現語調査
演奏家と職人取引の間で用いられる表現語を集め、共通の視点を築く作業にも取り組んでいます。これによって、文化が持つ独自の語彙の整理を行い、コミュニケーションツールの構築を目指しています。
これらの研究は三線を取り巻く文化の継承や発展に寄与するものであり、ヤマハは引き続き社会的・文化的な課題解決に取り組んでいきます。
さらなる情報
このプロジェクトの詳細については、
ヤマハ公式サイトをご参照ください。