藤巻亮太「THANK YOU LIVE 2025」オフィシャルレポート
2025年3月9日、山梨県甲府市のYCC山梨県民文化ホール大ホールにて藤巻亮太の「THANK YOU LIVE 2025」が開催されました。穏やかな春の訪れを感じる日差しの中行われたこのライブは、藤巻にとって特別な意味を持つイベントでした。
このライブは名曲「3月9日」にちなんだ恒例行事であり、昨年は東京の日比谷野外大音楽堂という大舞台で行われたものの、今年は彼の故郷・山梨が舞台となりました。21年目を迎えたこのイベントは、藤巻が歌う新たな「3月9日」の物語の幕開けを告げるものでした。
開始の躍動感と感謝の声
オープニング1曲目は「紙飛行機」。バンドのエネルギーに満ちた演奏が響き渡り、藤巻の声も素晴らしいコンディションでした。「Weekend Hero」から「ハロー流星群」へと続く流れには、バンド全員の一体感が感じられ、ヒートアップ。この瞬間、藤巻亮太というアーティストの魅力が、バンドメンバーに支えられ光り輝いていました。
「みなさんへの感謝を伝える「THANK YOU LIVE」、今年は地元・山梨です」とは藤巻自身の言葉。観客からは「おかえり!」の声が上がり、温かい歓迎に包まれました。
次のコーナーでは、「ドッグイヤー」、「名もなき道」、「太陽の下」と続く旅をテーマにした楽曲が披露されます。曲調がスローで広がっていく様子がまさに旅情を誘うもので、藤巻の世界観がホールいっぱいに広がりました。柔らかなオレンジ色の照明が、会場の雰囲気を一層引き立てます。
新たな出発を感じる曲たち
バンドメンバー全員がMCに登場したのも印象的でした。特に藤巻が故郷であるためか、自然体な雰囲気が感じられました。さらにヴァイオリンの吉田篤貴が加わり、じっくり聴かせるパートが続きます。「マスターキー」、「花びらのメロディー」、そして「恋の予感から」では情感あふれる演奏が繰り広げられ、特にヴァイオリンの音色が印象的でした。
「季節が揺れながら、冬と春が綱引きをしている中で、ここからは冬が勝ち気味のコーナーをやろうと思います(笑)」という言葉を受け、新曲「真っ白な街」を初披露。切ない別れの情感が込められたこの曲は観客の心に響くものでした。
流れるように「粉雪」へと繋がる演奏は、感情の深みを感じさせ、圧巻のパフォーマンスとなりました。
ライブのクライマックスへ
次第に春めいた曲が披露されると、観客の期待感も高まります。新しいアルバム『儚く脆いもの』のオープニングトラックである「桜の花が咲く頃」も演奏され、切なさと希望が交錯する季節感を見事に表現しました。
ライブはそのまま「南風」からタオル回しの「ゆらせ」、2023年リリースの「朝焼けの向こう」と続き、盛り上がりが頂点に達します。観客も総立ちで手振りとダンスで楽しみました。
感謝と思い出が交錯する瞬間
ライブの最後には、藤巻が自身の代表曲「3月9日」を演奏。その場にいる全ての人にとって、この曲は新たな思い出や感情を伴った特別な曲となっています。熱烈な手拍子に応え、アンコールではレミオロメン時代の「ありがとう」がみずみずしい響きを持って演奏されました。
最後には、ニューアルバムのタイトル曲「儚く脆いもの」を力強く歌い上げ、観客はそのメッセージに引き込まれました。感謝の気持ちが交錯するフィナーレでは、観客とアーティストが作り上げた特別な時間が確かなものとして残りました。この日の思い出は、きっと誰の心にも深く印象づけられることでしょう。
来年もまたこの特別な日を共にできることを、藤巻と共にファンも願ってやみません。