阿部暁子の『カフネ』が本屋大賞受賞!その魅力とは?
本日、明治記念館にて開催された「全国の書店員が選んだいちばん!売りたい本2025年本屋大賞」の発表で、阿部暁子の最新作『カフネ』が栄えある第1位に選ばれました。昨年12月から急激に売れ行きが伸び、発売からわずか半年足らずで8回の重版を果たす異例の快挙。一体何がこの作品をここまで押し上げたのか、その背景や魅力をまとめてみました。
売れ筋の理由は?
『カフネ』は、全国の書店員から絶大な支持を受けており、初のノミネートで初受賞を果たしたのは喜ばしいニュースです。これまでにも「第8回未来屋小説大賞」や「第1回あの本、読みました?大賞」を受賞している本作は、現在も熱心なファンに支えられ、印刷部数は32万部を突破しています。
書店員からの熱いメッセージ
昨年春の発表以降、書店員からの応援の声が続々と寄せられ、特に2022年の年末からは供給が追い付かずに売り切れ店舗が続出しました。多くの人々に愛されている作品であることが数字からも明らかにされています。
『カフネ』のタイトルの意味
タイトルの「カフネ」とは、ポルトガル語で「愛しい人の髪を撫でる仕草」を指します。この言葉を通じて、作品は言葉にならない関係性を描いたものです。人々の優しさを象徴するこの言葉は、物語全体のテーマにも通じています。
複雑な人間関係を描く
本作には、心に傷を抱えた二人の女性、薫子とせつなの関係が描かれています。彼女たちの関係性は、読み手によって様々に解釈可能で、「女性同士の恋愛」と捉えることもできます。しかし、著者はその関係に明確なラベリングを行わず、個々の読者に思考の余地を与えています。これもまた、直訳が難しい「カフネ」の深さを象徴しています。
社会的なテーマにも触れる
料理小説でありながら、現代の厳しい社会も描写される『カフネ』。物語の中では離婚や不妊治療など、様々な現代社会問題に触れます。通して、人々が助け合えることの大切さや、「食」が心を救うきっかけになる様子が描かれています。読んだ後には、少しでも元気になれるようなメッセージが体験できるでしょう。
コロナ禍が影響を与えた
この作品は、コロナ禍により明るいロードムービーという構想から、より深刻な内容にシフトしたことがあったそうです。この変化が、作中に登場する家事代行サービスの描写にも現れており、人々が困難を乗り越える助けになることを目指しています。
料理も魅力のひとつ
『カフネ』には多くの魅力的な料理の描写があり、食事を通じた人々の繋がりが強調されています。本書に登場する料理のレシピは、公式HPでも紹介されていますので、ぜひ楽しんでみてください。
主人公と弟の物語
物語は、愛する弟の急死を受けた姉・野宮薫子が、弟の元恋人・小野寺せつなと出会うところから始まります。彼女たちの関係が食を通じて深まっていく様子は、心温まるストーリーとして描かれています。
終わりに
阿部暁子の『カフネ』は、ただの料理小説ではなく、愛や温もりが詰まった一冊です。この機会にぜひ、手に取ってみてはいかがでしょうか。きっと大切なひととの絆を再確認するきっかけとなるでしょう。