三澤文子の住宅改修への情熱
日本の木造住宅デザインに新たな風を吹き込む第一人者、三澤文子氏による待望の書籍が、2025年11月26日に刊行される。そのタイトルは、『「過去との対話」をデザインする——三澤文子の住宅改修の仕事』。この本では、三澤氏の住宅改修に関する考え方や実践事例が詳しく紹介される。
住宅改修の本質
三澤氏は、住宅改修の本質を「過去との対話」に求めている。この考え方は、建物が持つ歴史や文化を尊重し、そこから学びながら現在の生活にどう適応させていくかというものだ。これまでの実績として100棟以上の住宅改修を手掛け、その成果を本書に集約した。著者は、坪単価を抑えつつも質の高い住宅を提供し、持続可能な暮らしを実現する方法を模索してきた。
書籍の構成と内容
書籍は、三澤氏の実践例をもとにした構成になっており、具体的には以下の内容が含まれる。
1.
住宅改修の実例
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春庭のすまい: 庭を通じて感じる季節の移ろい。
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甲賀のいえ: 住民が集う場所として機能する住空間。
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岐阜・ふくまちや: 古い家屋を現代風に再生した工芸家の住まい。
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四恩庵: シニア夫婦のために設計された平屋の住まい。
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自適荘: 海辺に囲まれた落ち着いた家。
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北秋津のいえ: 250年前の建材を生かした住宅。
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興津のいえ: 既存の町家を生かした二世帯住宅。
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畷のいえ: 未来の景観を考慮した設計。
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中京・風の舎: 風通しを意識した玄関土間と縁側の家。
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平群のすまい: 断熱改修で快適な居住空間を実現。
2.
住宅改修の必要性
- 住宅の寿命という視点から改修の意義を整理し、コストを抑えつつ持続可能な住まいを提供する方法を提案。
- 住宅医としての取り組みや、温熱改修の重要性が詳解されている。
3.
改修手順の詳細
- 知っておくべき住宅改修の進め方や事前の調査、性能診断の重要性など、専門的な知識も網羅されている。設計段階から工事に至るまで、具体的なプロセスやポイントをわかりやすく説明。
三澤文子のプロフィール
三澤文子氏は、岐阜県立森林文化アカデミーの名誉客員教授であり、住宅医協会の代表理事でもある。彼女のキャリアは、多岐にわたる建築実績に裏打ちされており、1985年にはMs建築設計事務所を設立し、「木の住まい」に特化したデザインを行い続けている。阪神淡路大震災後は木造住宅の耐震性向上に取り組み、2009年からは後進育成のために「住宅医スクール」を開講するなど、その活動は多方面にわたる。
書籍の発行情報
本書『「過去との対話」をデザインする——三澤文子の住宅改修の仕事』は、株式会社建築資料研究社から2025年11月25日に発売され、価格は3,300円(税込)。全156ページの仕様で、みなさんの住まいづくりに新たな視点を提供する内容となっている。
この書籍を通じて、三澤文子氏の住宅改修に対する情熱やその思考を知り、今後の住まいについて考えを深める機会になればと思う。未来の住環境を見据えた住宅改修が、多くの人々にとって身近な選択肢となることを期待する。