鷲田清一が贈る、哲学の深淵を覗くエッセイ集
哲学者・鷲田清一の新作エッセイ集『透明になんかされるものか』が、6年ぶりに発表されました。本書では、現代が抱えるさまざまな社会問題に光を当て、その本質に迫る内容が詰まっています。コロナの影響を受けた人々が抱える不安や日々のニュースと向き合う視点を提供し、硬軟交えた豊かな教養がうまく展開されています。
現代の問題に切り込む多彩な視点
ウクライナやガザでの戦争、そして震災や未知のウイルスによってもたらされる様々な問題は、決して簡単には解決できません。本書において鷲田は、それらの出来事の裏に隠れたより深い問題に迫り、どう向き合うべきかを考察しています。たとえば、我々はコロナの経験をどのように今後に生かすべきなのか。また、戦争をどう受け止め、日本にいる私たちが何をすべきかという問いかけがなされています。
さらに、旧ジャニーズや政治家の会見でみられる不均衡な状況についても言及し、その背景について考察します。そして、「SDGs」という言葉がもたらす不信感にも触れ、日常的に目にするニュースをどのように捉えるべきか、そして更に一歩踏み込んで考えるための道筋を示しています。
心に響く言葉による洞察
本書の中で鷲田が示す「確固とした存在になりえなかったとしてもそれはいい」といった言葉は、読者の心に深く響きます。私たちは自らの存在意義を問い直し、何が本当に大切かを考えさせられる内容となっています。「透明」になることに対する拒否感は、多くの人に共感を呼ぶでしょう。
特別な読書体験を演出
エッセイ集には問題を捉える足がかりとなる「読書リスト」が付属しており、読者は更なる学びを得ることができます。また、出版を記念したフェアが書店にて開催される予定で、参加者には鷲田の視点を深める貴重な機会を提供します。
鷲田清一の経歴
著者である鷲田清一は1949年生まれで、哲学者としての経歴を持ちつつ、大阪大学の教授や京都市立芸術大学の理事長・学長、さらにはせんだいメディアテーク館長など、多岐にわたる役職を歴任しています。彼は、身体、他者、言葉、教育などのテーマについて独自の視点で論じており、数々の著書も発表しています。特に、朝日新聞での連載「折々のことば」は多くの人々に親しまれています。
書誌情報
この新しいエッセイ集『透明になんかされるものか』は、株式会社朝日出版社から2025年5月21日に発売予定。定価は2,035円(税込)で、284頁の内容が含まれています。現代社会に対するまなざしを新たにするための一冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。
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