近現代ロシア史を深堀りする新たな一冊
東京大学で近現代ロシア史を教える池田嘉郎教授が、その研究成果をもとに新著『悪党たちのソ連帝国』を11月27日(木)に発表します。本書では、ロシアの歴史を支配した指導者たちの姿を通じて、今日のプーチン体制がどのように形成されてきたのかを探ります。
本書の内容について
『悪党たちのソ連帝国』は、新潮社が展開する「悪党シリーズ」の最新作で、これまでの『悪党たちの大英帝国』や『悪党たちの中華帝国』に続く作品として位置づけられています。著者は、レーニンからゴルバチョフまでの歴代ソ連指導者たちにスポットを当て、その政治的手法や思想を詳しく解説しています。この本を通じて、ソ連特有の統治原則が明らかにされ、プーチンが強権独裁としての路線を選んだ理由や、ウクライナ侵攻の背景が考察されていくのです。
「悪党」とは?
本書で紹介される指導者たちは、それぞれに異なるスタイルでソ連を統治しました。以下にその特徴を示します:
- - レーニン:革命家として「共産党一家」を率いた。
- - スターリン:大テロルを通じて「上からの革命」を実現。
- - フルシチョフ:予測不能な危機を招く混乱の元凶。
- - ブレジネフ:穏健なバランサーとして帝国を安定。
- - アンドロポフ:KGB議長も務めた改革者的存在。
- - ゴルバチョフ:ペレストロイカによりソ連を崩壊に導く。
これらの「悪党」たちの姿を通じて、ロシアの政治文化がどのように形成され、変化してきたのかが鮮明になります。
著者の視点
池田教授は、ソ連とロシアの歴史においては、指導者の影響力が他国に比べて特に大きいと指摘します。そのため、単なる歴史的背景を超え、指導者の意志が歴史の方向を決めることが多々あると述べています。政権幹部や国民の意志も無視できないものの、彼らの言動が歴史を動かす原則であるというのが、本書の核となる考え方です。
書籍の概要
本書は、ロシア革命により解体されたはずの帝国が、どのようにしてソ連という形式で再建され、さらには現代ロシアのプーチン政権にまで至ったかを問う内容です。まさに、歴史を知り、それを通じて未来を考えることができる一冊となっています。
池田嘉郎教授は、1971年に秋田県で生まれ、東京大学大学院で文学博士を取得した近現代ロシア史の専門家です。彼の著書には『革命ロシアの共和国とネイション』や『ロシア革命破局の8か月』などがあり、しっかりとした研究に基づいた視点を提供しています。
発売情報
- - 書名:悪党たちのソ連帝国
- - 著者:池田嘉郎
- - 発売日:2025年11月27日
- - 定価:1,925円(税込)
- - ISBN:978-4-10-603938-6
- - URL:新潮社公式ページ
本書を手に、近現代ロシアの核心に迫る旅に出てみてはいかがでしょうか。