調査の背景と概要
2025年に向けての総務の役割やトレンドを把握することを目的に、株式会社月刊総務が実施した調査が話題です。全国の総務担当者142名を対象に行われたこの調査では、戦略総務を実践する割合や、経営判断における総務の影響力についての実感がどう変化しているか、さらには2025年に重点を置くテーマについてのトレンドが示されました。
戦略総務の実践率とその意味
調査によれば、約3割の総務が「戦略総務」を実践していると認識しています。戦略総務とは、経営課題を把握し、経営陣に解決策を提案する役割を果たすことを指します。この結果は、経営層とのコミュニケーションを通じて企業価値向上に貢献する重要性を示しています。
一方で、戦略総務の実践率が低調であることは、経営判断における総務の影響力の低下とも相まって、課題となっています。約6割の回答者が経営判断における自分の影響力があると感じている一方で、前回調査に比べてその割合は減少しています。この事実は、総務の役割がより重要である一方で、実際の影響力が以外に限定的であることを浮き彫りにしています。
課題と注力テーマ
調査結果からは、2025年に向けて力を入れたいテーマとして「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が最多となり、次いで「社内コミュニケーション」が続きます。特に社内コミュニケーションの課題は52.8%の回答者が挙げており、改善が求められています。総務部門は社内の円滑なコミュニケーションを促進し、企業の一体感を醸成する役割を担うことが不可欠です。
また、調査によって「コンプライアンス」に対する意識も高まっており、総務としてもリスクを軽減するための対策が求められています。
総務の評価と業務量
これまで総務の仕事は正当に評価されていないと感じる声が多かった中、今回の調査では約47.2%の回答者が評価されていると実感しています。その一方で、評価基準が曖昧であるとの指摘も多く、総務の役割が目に見えづらい特性が影響していることが伺えます。業務の視覚化や業務プロセスの見直しが今後の課題として浮かび上がっています。
特に業務量に対する不満が強く、効率化が求められています。総務は多岐にわたる業務を兼務しているため、業務の整理や優先順位の見直しが不可欠です。
AI活用と未来の展望
さらに、AIエージェントの活用状況についても調査が行われ、現時点で活用しているのは5.6%にとどまっています。AI技術の進展に伴い、業務効率化のための施策としてその活用は今後注目されることでしょう。業務の自動化によって、本来の役割である経営サポートに専念できる新たな道筋が見えてきます。
まとめ
総務部門は今、変革の時期を迎えています。これからの10年で求められる役割としては、「経営の参謀」「プロフェッショナル集団」を目指す意識が高まっています。総務部門としての成長や影響力を強化するためには、これまでの業務を再構築し、新たなアプローチを常に模索する姿勢が求められるのです。2025年に向けて、総務の新たな挑戦が期待されます。