新刊『医療における患者のチカラ』が登場
このたび、細田満和子著の新刊『医療における患者のチカラ孤独・孤立を予防するコミュニティ』が発売されました。超高齢社会の現代において、医療と福祉、教育が交差する中、我々は社会が求める「共生」の重要性を見直す必要があります。この書籍は、患者が社会とどのように結びつき、自らの力を発揮していくのかを探り、具体的な事例を交えて紹介しています。
書籍の構成
本書は二部構成となっており、第1部では「患者会やピアサポートとは何か?」と題し、患者の悩み、希望、そして何が彼らを動かすのかに迫ります。医療の文脈では一般的に受け身とされる患者が、どのようにして主体的に関わり始めたのか。その具体的な活動内容を通して、医療における「患者のチカラ」の意義を深堀りします。
続く第2部では、孤独や孤立を防ぐための「コミュニティのチカラ」に光を当てます。ここでは地域のネットワークを通じての健康的な生活への支援、さらには社会的処方(Social Prescribing)の重要性について考察されます。薬に頼らざるを得ない状況から脱却し、地域とのつながりを活用することで得られるメリットが数多く挙げられています。
超高齢社会へのアプローチ
我々の社会は急速な高齢化に直面し、これまで以上に「共生」の価値が問われています。本書が提唱する「支え合いの仕組みを創る」ことは、医療者だけでなく地域社会全体での取り組みが不可欠であることを示しています。さらに、患者や市民が医療や福祉システムを理解し、適切に活用することが求められています。具体的には、知援力(支援を知る力)や活援力(支援を活用する力)といった新たな視点が重要視されています。
さらに、著者の細田氏は患者の「旅路」を通じて、病気の診断から日常生活の再建、そして最期の時までのプロセスを描写し、医療者や家族がどのように関与していくべきかについて考察しています。
誰もが自分らしく生きる社会を目指して
本書は、当事者である患者のエンパワメントを促し、自分らしく生きるための道筋を示します。細田氏は、医療・福祉の専門職だけでなく、患者家族、地域の活動家や研究者に至るまで、広く読まれることを望んでいます。彼女の視点は、患者が単なる医療の受け手ではなく、新たな生き方や生活を作り上げている主体であることを世に広めようとしています。
まとめ
細田満和子の著作『医療における患者のチカラ』は、超高齢社会における患者の位置づけや、その支援のあり方について、一つの道を提示しています。共生社会を志向する中で、すべての人々にとっての「支え合い」を実現していくための一助となることでしょう。読者が地域のケアリング・コミュニティを形成するための第一歩を踏み出すための手助けとなることを願っています。