乳がんとエヴェレスト登山の壮絶な挑戦
新たな書籍『がんとエヴェレスト』が登場します。この作品は、著者・麻紀子さんが乳がんと闘いながら、世界の七大陸の最高峰を制覇するまでの彼女の経験を書き記したものです。発売日は2025年3月28日で、世界文化社から刊行されます。
乳がんとの闘い
麻紀子さんは、南米大陸最高峰アコンカグア登山チームに参加する寸前に乳がんの診断を受けました。周囲からは「治療に専念するべき」との声もありましたが、彼女はその意見をかわし、手術日を登山の後に調整し、希望に満ちた南米の大地へと旅立ちました。ここから、彼女は乳がんの治療と登山という二つの人生の大きな挑戦を同時に経験することになります。
著者は『がんとエヴェレスト』の中で、登山を始めたきっかけや、どうやって乳がん治療と並行して挑戦を続けたのかを語っています。特に、屋久島での初めての登山が、彼女の人生の転機となりました。2023年にはとうとうエヴェレスト登頂に成功し、ついにセブンサミッターとして名を刻むことになりました。
挑戦のリアル
高所登山は、どのような困難が伴うのでしょうか。麻紀子さんは、エヴェレストのベースキャンプから見上げた瞬間の感動や、登頂に至るまでの道のりを詳細に描写しています。「デス・ゾーン」と呼ばれる高度8000m以上での危険や、肺水腫によるヘリコプター救助など、数々の困難を乗り越える姿は心を打ちます。
本書では高所登山の魅力を感じられる様々なエピソードも詰まっています。朝食の味や、下山後のシャワーがどれほど特別なものであったか、笑いを交えて語る姿に、読者は引き込まれることでしょう。また、商業登山という新しいスタイルや、山特有のトイレ事情、エヴェレストの混雑した現実についても触れています。
苦悩と前進
がんと診断されたときの衝撃や、その後の治療への迷いは、麻紀子さんにとって非常に辛い経験でした。しかし、彼女はその痛みを受け入れ、感情に寄り添った選択をします。本書では入院や手術の詳細、ホルモン治療の副作用による日常の闘いがリアルに描かれています。それが、高所登山のトレーニングへと繋がる瞬間もあったといいます。
彼女がこの経験を通して得た教訓は、絶望の中でも挑戦することで希望が見えてくるということ。がんを克服しながらエヴェレストに挑むことが、どれほど彼女にとって意義のあるものであったかが伝わってきます。
終わりに
麻紀子さんの著書『がんとエヴェレスト』は、山岳ガイドの倉岡裕之氏の推薦を受けるなど、多くの人に感動と勇気を与える内容です。その率直な体験は、特に不運や困難に立ち向かう多くの人々に勇気を与えることでしょう。また、公益社団法人日本山岳ガイド協会の会員として活動する麻紀子さんの今後にも注目が集まります。人は苦難を乗り越えた先にこそ、新たな未来が待っているのです。
この本にある麻紀子さんの言葉は、今を生きる全ての人に響くことでしょう。