研究者から経営者へ、がん新薬開発に挑むベンチャーの軌跡
新たに出版された本書『研究者、経営者になる。 がん新薬にかけるベンチャーの挑戦』は、Chordia Therapeutics株式会社の代表取締役、三宅洋氏が自らの経験を通じて、製薬業界における変革と挑戦を語る作品です。三宅氏は、これまでの経歴の中で国内大手製薬企業でのキャリアを築いてきましたが、組織再編を機に新たな道を模索することになります。この著書は、彼の転機やその後の挑戦の連続をインタビュー形式で描くことで、読者に勇気と希望を与えることを目的としています。
三宅の背景と決断
三宅氏は、東大のドクターコースへ進む際、権威を嫌う自らの思いを持っていました。結婚を機に人生の転機が訪れ、その結果として自らの研究者としてのキャリアを見つめ直すこととなりました。本書は、第1章から権威嫌いが招いた彼の進路変更の様子を探ります。
起業という新たな選択肢
次に第3章では、研究者としての道を捨て、起業するという決断に至った背景を詳しく解説しています。この選択には多くの不安が伴ったものの、リスクを恐れず挑戦する姿勢が彼の新たな役割に繋がりました。たとえば、Chordia Therapeuticsの設立当初は資金調達が難航しましたが、信じられる仲間を引き入れ、共に開発の道を切り開いていくことになります。
がん新薬開発への情熱
本書の中では、がん新薬の開発を目指すことで夢を追い続ける姿勢にも焦点が当たります。三宅氏は、リードパイプラインとなるCLK阻害薬rogocekibに対する期待を語り、その特性や治療可能性についても具体的なデータを紹介しています。さらに、MALT1阻害薬やCDK12阻害薬といった他の研究開発プロジェクトにも触れることで、バイオベンチャーの可能性を広げる意義を強調しています。彼は「研究者から経営者になる」という新たな旅路を通じて、若き研究者たちへのメッセージを伝えています。
バイオベンチャーの未来
日本におけるバイオベンチャーの将来性についても語られています。三宅氏は、現在の進行中の臨床試験や世界的な製薬業界の変化に触れながら、新しい医療技術に挑戦することが求められていると力説します。このような革新に貢献するために、自らの経験をもとに起業を考えることが重要だと述べています。特に医療業界での構造的変化を背景に、若手研究者には新たな機会が広がっていることを伝えようとしています。
まとめ
本書『研究者、経営者になる。 がん新薬にかけるベンチャーの挑戦』は、三宅洋氏の個人的な努力と成功の物語を通じて、がん薬開発への情熱がいかに新たなビジネスモデルを生み出すのかを示しています。出版は2025年6月20日を予定しており、今からの予約も可能です。若手医療従事者や投資家にとって、必見の一冊となるでしょう。