国立音楽大学が新たに誕生させた「くにおんフォルテピアノ」
国立音楽大学の楽器学資料館が誇る「くにおんフォルテピアノ」が、大学創立100周年を記念する事業の一環として製作されました。この楽器は、18世紀の名匠アントン・ワルターによるフォルテピアノの精巧な複製であり、質の高い音楽教育の実現を目指しています。
新たな楽器誕生の背景
この美しいフォルテピアノは、2011年に建設された新校舎の際に伐採されたキャンパス内のシンボルツリーの木材を一部使用して製作されています。鍵盤楽器製作家であり、本学の講師でもある太田垣至氏が手がけたこの楽器は、教育や研究の場だけでなく、コンサートやイベントにおいても幅広く活用される予定です。
フォルテピアノの価値
国立音楽大学の楽器学資料館は、数多くの19世紀フォルテピアノを所蔵し、鍵盤楽器の歴史を学ぶための授業や演奏研究に利用されてきました。しかし、モーツァルトやベートーヴェン初期の作品を研究するには、18世紀後半のフォルテピアノが必要不可欠です。オリジナル楽器は希少で、長い年月の影響を受けているため、実際の演奏に使用するには限界があります。そのため、複製楽器は、教育や研究の場で大いに貢献するものであり、多くの人々にその魅力を伝える重要な役割を果たしています。
お披露目イベントの詳細
「くにおんフォルテピアノ」の完成を記念し、2025年4月18日(金)にはお披露目コンサートが開催されます。このコンサートでは、ピアニストの久元祐子氏がフォルテピアノ特有の音色や奏法について解説し、さらにはヴァイオリンの永峰高志氏、ソプラノの長島剛子氏とのアンサンブルによって、18世紀の音楽の響きを体感することができます。参加は無料ですが、事前の申し込みが必要です。
トマシュ・リッテルによる特別リサイタル
さらに、2025年6月27日(金)には、ポーランドの名ピアニスト・トマシュ・リッテルによるリサイタルが予定されています。リッテル氏は、ショパン国際ピリオド楽器コンクールとブルージュ国際古楽コンクールの両方で第1位を獲得した実力派です。この公演では「くにおんフォルテピアノ」を使用し、モーツァルトやベートーヴェンの作品を演奏します。卓越した演奏を通じて、当時の音楽の魅力を存分に味わえる貴重な機会です。
さらなる企画も満載
2025年12月11日(木)にはフォルテピアノのレクチャーコンサートも予定されています。古典派のピアノ作品をテーマに、フォルテピアノ奏者の平井千絵氏による解説と演奏が行われます。また、企画展やサマースクールも開催され、体験を通じてフォルテピアノの魅力を多くの人々に伝えていくことを目指しています。
全国から多くの来場者を迎え、新しい音楽の風を吹き込む「くにおんフォルテピアノ」の誕生に、ぜひご期待ください。