『中動態の世界』文庫化
2025-02-28 11:44:17

國分功一郎の哲学書『中動態の世界』待望の文庫化が決定!

國分功一郎の新たな挑戦、文庫版『中動態の世界』



著者・國分功一郎の最新作『中動態の世界 意志と責任の考古学』が、2025年3月28日に新潮文庫として登場します。この本は、彼の代表作『暇と退屈の倫理学』が累計40万部を突破した後、さらなる期待を集めています。

『中動態の世界』は、学校教育で教わる能動と受動という二元論を越え、失われた概念である“中動態”に焦点を当てた作品です。この新たな視点から、日常的な思考がどれほどの不自由さをもたらすかについて深く掘り下げています。著者は、歴史の中でひっそりと消え、現在の言語において利用されることのないこの“中動態”を手がかりに、人間の行動や意志の真の自由を問いかけるのです。

哲学の新たな視点、読者の心をつかむ理由



本書は2017年に医学書院から刊行され、大きな話題を呼びました。その内容は、依存症当事者との対話を通じて形成されており、私たちが普段無意識に信じている能動と受動の二項対立に囚われていることに焦点を当てています。著者の視点は、時には斬新であり、深い洞察に満ちています。

特に注目すべきは、ノーベル賞作家であるハン・ガン氏も言及したこの中動態の概念です。彼女の著作『ギリシャ語の時間』では、現代社会においてこの考え方がどのように重要であるかが示されています。たとえば、「誰かを好きになる」という行為は、実際には能動でも受動でもない複雑なプロセスであると、この視点から説明されます。これにより我々の言語や思考の枠組みがより柔軟になり、日常生活の中での行動について新たな理解が得られるでしょう。

新たな補遺と責任の考察



文庫版では新たに収録された補遺「なぜ免責が引責を可能にするのか──責任と帰責性」は、著者自身が以前は深く踏み込まなかった「責任」という概念について新たに論じています。この補遺により、意志と責任の結びつきにより生じる社会の歪みについても鋭く指摘されています。

「責任とは何か?」という問いは、という問いは多くの人々にとって身近なテーマであり、偏見なく真摯に向き合うことが求められています。著者は、この新たな視点から責任について掘り下げることで、現代社会における重要な問題への解答を提供しようとしています。

異例のヒット作『暇と退屈の倫理学』



國分功一郎の名前を広く世に知らしめたのは、彼の著書『暇と退屈の倫理学』です。2022年1月に文庫版が刊行されて以降、累計40万部に達するという異例の成功を収め、特に20〜40代の若年層に多くの支持を得ました。この本は、現代の消費社会における気晴らしや退屈の問題を探求し、哲学書としての枠を超えた人気を博しました。

特に、2022年と2023年にわたって「東大・京大で一番読まれた本」に選ばれたことは、この作品が持つ影響力を証明しています。

國分功一郎について



著者の國分功一郎は、1974年生まれで東京大学で哲学を専攻しています。彼の作品は、単に哲学的な議論に展開されるものだけでなく、現実社会における人々の思考や行動の理解を深めるための洞察を与えてくれます。彼が描く新たな哲学の世界は、今後も多くの読者に刺激を与えることでしょう。

今回の文庫化に期待し、ぜひ手に取ってみてください。


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