野口里佳の新たな作品『虹』が印刷会社から刊行
日本のアートシーンで注目される写真家・野口里佳が、株式会社山田写真製版所が手がける出版レーベル「YAMADA Book Publishing」より、新しい写真集『虹』を発表しました。本書は、彼女がタカ・イシイギャラリーで行った個展「虹」での作品をまとめたものです。
野口は、この作品のインスピレーションは鳥取の砂丘での体験に由来すると語ります。「そこはずっと行ってみたかった場所で、砂の上を歩くと遠くに人影が見え、赤と白の大きな翼が広がってふわりと宙に浮いた。まるで消えていく虹を目の当たりにしたかのようだった」と語る彼女の言葉からも、その瞬間の美しさと儚さを感じ取ることができます。
綿密な製版技術
『虹』は、野口の芸術的なビジョンを忠実に再現するために、0.01%単位での色調整が施されています。製版段階からこだわり抜いた作品は、パラシュートの柔らかい空気感を「アラベール」という特殊紙で表現しました。この用紙は、独特の質感があり、まるで空気を含んだような仕上がりになります。
さらに、袋とじの製本を採用しており、ページを一枚ずつ丁寧にめくりながら楽しめる仕掛けも施されています。このように、ただ写真を見るだけでなく、より深くその世界に浸ることができる特別な体験を提供しています。
「リフレクションズ」展と販売情報
また、野口里佳が参加する現代美術展「リフレクションズ―いつかの光」が札幌芸術の森美術館で開催されます。この展覧会に合わせて、同館のミュージアムショップで写真集『虹』も取り扱われることが決定しました。ぜひ訪れてみてください。
- - 会期 : 2025年11月15日(土)~12月21日(日)
- - 入館時間 : 午前9時45分~午後5時(閉館の30分前まで入館可)
書籍の詳細
写真集『虹』の出版日は2025年11月15日で、野口里佳自身が著者であり写真を手がけています。また、ブックデザインは中島英樹に師事したアートディレクターの林琢真が担当。コンパクトながらも存在感のある一冊には、全28ページが収められています。
この作品は、YAMADA Book Publishingの強みを活かした、印刷と製本の技術の結晶とも言えるものです。価格は5,500円(税別)で、オンラインストアで11月5日から先行販売がスタート。この機会に特別価格で手に入れることが可能です。
刊行記念イベントも注目
書籍の刊行を記念して、12月4日から26日には、book obscuraにて「虹」というタイトルの特別イベントが開催されます。このイベントでは、野口里佳と山田写真製版所のコラボレーションを紹介しています。詳細は公式Instagramやオンラインストアで随時発表されるので、ファンならずとも要チェックです。
野口里佳のプロフィール
野口里佳は1971年に生まれ、埼玉県出身で現在は沖縄に在住。1992年から写真作品制作を開始し、国内外で数多くの展覧会を行っています。収蔵先には国立近代美術館やグッゲンハイム美術館などが名を連ねており、日本のアート界での注目度が高まっています。
公式Instagramも活用しており、作品の裏話や展示情報などを発信しています。アートファンはもちろん、これからの彼女の活動から目が離せません。
YAMADA Book Publishingの使命
YAMADA Book Publishingは、富山県の老舗印刷会社「山田写真製版所」により設立され、アートブックに特化した出版レーベルとして2015年に始まりました。技術と想像力を駆使し、今後も優れたアートブックを定期的に発行し続けます。
私たちの視覚を刺激し、心を豊かにする優れた作品が次々と登場する彼らの姿勢は、アート界に新たな風を吹き込むことでしょう。