ユニバーサルデザインを学ぶ新たな試み
デザインの世界において、ユニバーサルデザインはますます重要視されています。そんな中、書体デザイナーである高田裕美氏の初めての児童書、『みんなの「読める」をデザインしたいわたしは書体デザイナー』が2025年10月30日に発売されることが決定しました。学研ホールディングスのグループ会社、株式会社Gakkenが手掛けるこの書籍は、ただの読み物ではなく、デザインの概念を子どもたちに易しく伝える一冊です。
書体とユニバーサルデザインの関係
小中学校の教室や日常生活において、書体は欠かせない存在です。しかし、すべての人にとって読みやすい書体は存在しません。高田氏がデザインした「UDデジタル教科書体」は、特に弱視の子どもや、ディスレクシアの人々を考慮し、長い年月をかけて完成させたものです。けれども、この書体は単に当事者向けに作られたわけではなく、通常の学級で学ぶ子供たちでも自然に感じられる「読みやすさ」を持ち合わせています。
この書体の成立は、高田氏が「誰も取り残さない書体を作り続けたい」という思いを胸に、8年以上の時間をかけてじっくりと進めてきたプロジェクトの成果です。学校や家庭で、子どもたちが自由に調べ学習を行う手助けとなることを目指しています。
本書の内容と意義
本書は書体についての基本的な理解を深めるための構成がなされており、6章から成り立っています。具体的には、「書体ってなんだ?」という基本的な問いかけから始まり、「ユニバーサルデザインとは?」や「書体デザイナーの仕事」など、多様な視点からデザインのプロセスを学ぶことができます。これにより、子どもたちが自身の存在意義を感じるきっかけとなることでしょう。
著者が本書を通じて伝えたい重要なメッセージは、「誰もが異なること」や「一人ひとりの存在が大切であること」です。ユニバーサルデザインの理解は、特定の障害を持つ人々だけではなく、全ての人にとっての「読みやすさ」や「快適さ」につながります。
誰もが楽しめる一冊
高田裕美氏の「奇跡のフォント」が注目を集めたのも記憶に新しいですが、この児童書はその延長線上にあると見ることができます。子どもたちが自身で読み進めることはもちろん、親子で一緒に楽しむことで、会話のきっかけともなることでしょう。
これにより、家庭内でのユニバーサルデザインについての理解が深まり、みんなが話し合うことの大切さを知る手助けになります。
まとめ
高田裕美氏による『みんなの「読める」をデザインしたいわたしは書体デザイナー』は、ユニバーサルデザインの概念を子どもたちに向けて優しく解説した貴重な作品です。今後の書体デザインや教育現場においても、重要な役割を果たすことが期待されるこの一冊、ぜひ手にとっていただきたいと思います。予約販売も始まっているので、気になる方は早めのチェックをお忘れなく!