復興中の能登半島に笑顔をもたらした紙芝居師・ふろん茶の挑戦

北部九州からやってきた紙芝居師、ふろん茶（本名：前田高成）は、2025年3月23日から26日の間、石川県輪島市の仮設団地や町野町の炊き出しスペースを巡って、復興中の能登半島に笑顔を届ける紙芝居の口演を行いました。この活動は全国の273名から寄せられた支援のおかげで実現したもので、彼は「愛と笑いを真面目に語る」紙芝居師として、その魅力を存分に発揮しました。

クラウドファンディングで実現した「紙シバーイーツ」

この新しい形の文化支援、通称「紙シバーイーツ」は、観客からの直接料金を取るのではなく、支援者から寄せられた資金を移動費や宿泊費に充てることで、より多くの人に紙芝居を届けるというもの。ふろん茶の活動は全国からの応援で成り立っており、彼の精神である「ひとりでも笑顔にできるならやる」という信念が、支援者の心に響きました。

地域とのつながり

訪問先である輪島市では、1681年から続く農家の家系、有限会社川原農産の川原應貴代表の協力を得て、炊き出しスペースで5回の紙芝居口演を実施。特に、ボランティアの方々が集まり、共に笑い合う時間を持つことで、地域の絆が深まる瞬間が生まれました。

初日は、炊き出しの準備を行っている現場での挨拶を行い、2日目には実際に口演を行いました。復興作業の音が響く中、地域住民たちが集まり、東京から訪れたイタリアンシェフの炊き出し料理とのコラボもあり、現地の雰囲気が和らぎました。

3日目には、2つの仮設住宅団地にて子どもたちやボランティア、高校生が集まり、皆で笑いを共有する時間を過ごしました。「すごく楽しかった！」「もっと観たい！」との声が響く中、観客参加型の形式が新たな感動を生み出しました。

無料という概念を打破

と同時に、ふろん茶は「紙芝居は無料でやって当たり前」という固定観念との闘いも行っています。「人の心に届くものだからこそ、プロとして向き合いたい」と語る彼は、正当なギャラを受け取ることで、次の活動に繋げていく考えを広めることを目指しています。この能登訪問は、その願いを実現する一歩であり、支援者たちの力によって続けられる文化支援の新モデルの一例です。

4日間の笑顔と思い出

初日にもとやスーパーで出会った観客が再度、紙芝居を観に来てくれたことや、キャラクターシールを受け取って笑顔を見せる子どもたちの姿は、彼にとっても貴重な瞬間でした。仮設住宅団地での口演は、まさに「紙芝居が人と人をつなぐ」その原点を思い出させるものであり、「応援があるからこそ続けられる」という事実を再認識する機会となりました。

まとめ

ふろん茶の活動は、ただのエンターテインメントにとどまらず、地域の人々に笑顔と希望を与える貴重な時間となりました。彼の持つ「紙芝居で日本中を笑顔にする」という挑戦は、今後もさらに多くの地域へ笑顔を届けていくことでしょう。支援してくださった皆様には深い感謝の意を表し、これからも多くの人々に愛される紙芝居の形を創造していこうと考えています。