「隅田川」上演への期待
2025年9月6日、東京都品川区に位置する十四世喜多六平太記念能楽堂で、喜多流能楽師の友枝雄人による『隅田川』が上演される。五蘊会を29年間支え続ける友枝が企画・出演するこの公演は、能楽ファンだけでなく、広く一般の観客にも注目されている。
本作は、世阿弥の長男、観世元雅によって作られた作品であり、今もなお多くの人々に愛されている。友枝はその中でも特に「死の縁」というテーマに焦点を当て、観客に向けて強いメッセージを届けようとしている。
『隅田川』の魅力
『隅田川』は、息子を探して旅をする母親の物語を描いている。彼女はその旅の途上で、子供の死を告げられるという無情な状況に直面する。観客はそこに、人生の難しさや札の死を受け入れることの難しさを投影し、感情移入することだろう。
友枝は、作中の母親が子方の姿を一瞬でも見ることによって救われるのか、それとも更なる絶望に沈むのかという二面性を表現したいと述べている。彼自身も、子方を勤めていた頃の経験を通じてこの瞬間がどれほど観客にインパクトを与えるかを理解している。
演出の考え方
興味深いのは、舞台に登場する子方の年齢に関しての工夫である。友枝はあえて7、8歳の子供を演じることで、より深い感情を引き出そうと考えている。また、子方の存在の必要性については歴史的にも意見が対立していたが、今回は世阿弥が考えた姿を観客に体験してもらうという独自のアプローチをとる。
「死の縁」というテーマを自身の生き様に重ねて演技すると共に、観客にもその思いを感じ取ってもらいたいとの意気込みを語った友枝の言葉には、自らの成長と共に能楽への向き合い方が表れている。
公演情報
五蘊会が29周年を迎える今回の公演では、観客の期待に応えるために、緻密な演出と丁寧な実演が行われる予定だ。開場は午後12時、開演は午後1時、また終演は午後4時頃を予定しており、将来的には多数の観客が訪れることを見込んでいる。
チケットは全席指定で、価格はS席10,000円からC席5,000円まで。特にカンフェティの会員特典を活用することで、さらなる割引が受けられるため、早めの購入を推奨する。
友枝雄人のプロフィール
友枝雄人は1967年に生まれ、東京都で育った。彼は故友枝喜久夫の孫であり、友枝昭世の養子としてその指導を受けている。幼少期から能楽に親しみ、数々の重要な作品を披露してきた実力派の能楽師だ。特筆すべきは、彼が能楽協会の会員であり、重要無形文化財総合認定を受けている点である。
彼の活躍は舞台のみにとどまらず、教育的な側面でも貢献しており、今後の能楽界を牽引する存在として期待されている。
詳細とチケット情報
- - 公演名: 2025年五蘊会『隅田川』
- - 日程: 2025年9月6日土曜日
- - 会場: 十四世喜多六平太記念能楽堂
- - チケット情報: カンフェティ等で購入可、特典割引もあり。
- - 公式サイト: 友枝雄人公式サイト
この機会を逃さず、日本の伝統文化である能楽を存分に楽しんでほしい。友枝雄人が織り成す『隅田川』の世界に、是非ご注目を!