阿刀田高、90歳の単身生活で得た知恵とユーモアのエッセイ
阿刀田高さんの新刊『90歳、男のひとり暮らし』が、発売からわずか数ヶ月で3万部を突破し、大きな話題を呼んでいます。このエッセイ集は、彼が日々をどう過ごし、老いにどう向き合っているのかをユーモラスかつ軽妙に描いています。彼のモットーである「何事も〝まあまあ”ならそれでいい」という言葉は、多くの人々に共感を呼び起こしているのです。
著者の阿刀田高さんは90歳という年齢を迎え、数年前から奥様が介護施設に入居して以来、単身生活を送っています。そんな彼の生活や考え方を知ることができるのが、この新刊です。朝に鏡で自分の顔を確認し、手抜きながらも栄養バランスを考えた料理を心掛ける。さらには、苦手な通信販売での失敗談も笑いに変え、落語を“読んで”楽しんだり、眠れぬ夜には『源氏物語』や百人一首を数えたりと、前向きな姿勢で日々を軽快に過ごしている様子が描写されています。
このエッセイ集の魅力は、ただ老いを受け入れるだけでなく、それを軽やかに、そしてユーモアを交えて楽しんでいるところにあります。衣食住から趣味、さらには古典文学への愛情まで、多岐にわたって語られる知恵と経験は、ボリューム感のある内容でありながらも、読者にとって親しみやすい形で展開されています。
また、93歳の作家・黒井千次さんとの対談も行われており、この二人は高校時代の先輩後輩。70年以上の交流を大切にしてきた彼らが、共に90代をどうやって歩んでいるのか、興味深いお話が展開されています。「洋服の着脱が遅い」「浴槽から出られない」といった老いにまつわるエピソードが語られ、お互いの支え合いや生き方への思索が感じられます。
阿刀田高さんのこのエッセイ集は、単なる歳を重ねることへの懸念だけでなく、逆に「老いてこそユーモア」があることを教えてくれる、とても滋味深い作品です。人生の豊かさを再認識する上で、読者にとっても励ましや楽しさをもたらしてくれる一冊として、多くの人に手に取ってもらいたい作品です。
書籍情報
- - タイトル: 90歳、男のひとり暮らし
- - 著者名: 阿刀田高
- - 発売日: 9月25日
- - 定価: 1,870円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-603935-5
- - URL: 新潮社
このように、彼の新刊は私たちにとってただの読書以上の意味を持ち、心温まる教訓を与えてくれる存在となるでしょう。