台湾文学『地下鉄駅』
2025-10-28 08:38:16

現代台湾文学の巨星・何致和が描く『地下鉄駅』が日本に上陸!

現代台湾文学の巨星・何致和が描く『地下鉄駅』が日本に上陸!



台湾文学界の著名な作家、何致和(か・ちわ)氏による長篇小説『地下鉄駅』が、2025年10月28日に日本で発売されることが決定しました。この作品は現代台湾文学の重要な位置を占めており、彼の優れた文才が光る一冊となっています。

『地下鉄駅』とは?


本書は、台北の地下鉄駅を舞台に、人生で様々なつまずきを経験する人々の生と死を描写した作品です。物語の中心には地下鉄の自殺防止プロジェクトを任された鉄道職員の葉育安(よう・いくあん)の姿があります。彼は45歳で、思春期の娘と認知症の母との生活を送っています。性格は優柔不断で、すべてを受け入れる態度で生きている育安が、地下鉄のホームでの自死を考える人々に直面していく過程が描かれます。

他人の問題と自分の問題


自殺防止という重責が与えられた育安は、地下鉄構内にヒーリングミュージックを流し、啓発ポスターを掲示するも、思うような成果は得られません。彼を待ち受けるのは、心に深い闇を抱えた人々――会社のお金を横領したサラリーマン、失恋をSNSで晒された中学生、病気に悩む老人、自らの意志で生きる力を失った女性などです。これらの人々を救うことができるのか、育安の心の葛藤が物語の大きな軸となっています。

何致和のメッセージ


何致和氏は自身の作品を通じて、他人の問題を解決しなければならない職業の人々の苦悩と、自らの問題をどう対処するかという問いを発信します。特に、彼の世代が抱える高齢化する親と育つ子供についての二重のプレッシャーは、現在多くの人に共感を呼ぶテーマです。彼はこの作品を執筆する際、「自殺願望を持つ人がなぜその行為を選ぶのか」ではなく、「なぜ私たちが自殺を選ばないのか」ということを問うことが重要だと考えています。

多くの受賞歴


『地下鉄駅』は2022年に台湾で出版され、次々と重要な文学賞を受賞しました。第35回台湾文学賞金典賞、2022年度金石堂十大影響力好書、及び誠品閱讀職人大賞など、台湾文学界において特に影響力のある作品として広く知られることとなりました。

著者の称賛


選考委員の凌性傑氏は、何氏が中年男性の複雑な心情を見事に描き出し、公共交通機関を通じて行き交う人生の重層的なストーリーを展開していると評しています。地下鉄の瞬間的な流動感と、理解しようとする優しさを持った語りが特に魅力的です。

読者へのメッセージ


『地下鉄駅』は、深い社会問題を描きながら、温もりを持つ物語として全ての人々に響くことでしょう。生を手放さずにいることがいかに難しいかを示しつつ、著者の視点から温かい希望が見出されます。この物語は、誰もが時にはつまずきながらも、日々を生き延びる力を与えてくれる一冊です。

ぜひ、何致和の力強いメッセージを感じ取ってください。日本での発売を心待ちにしましょう!

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作品概要


  • - 書名: 地下鉄駅
  • - 著者: 何致和
  • - 出版日: 2025年10月28日
  • - 定価: 3,080円(本体2,800円)
  • - ISBN: 978-4-309-20934-0
  • - 装丁: 大倉真一郎
  • - 装画: 岡野賢介
  • - URL: 出版社サイト


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