日本企業に蔓延する“集団浅慮”の実態
2023年、世間を騒然とさせたフジテレビの「第三者委員会調査報告書」。この報告書が示した本質的な問題は、特定の個人や企業への非難だけではありませんでした。そこに光を当てたのが、ビジネス書作家・古賀史健氏の新刊『集団浅慮「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』です。本書では、組織内での「同調圧力」や「凝集性」がもたらす判断力の低下を指摘し、こうした現象を「集団浅慮」と名付けています。
「集団浅慮」のメカニズム
日本のビジネス文化に根付いた同調圧力は、組織内での意思決定に重大な影響を与えます。昭和的な価値観が根強く残る企業風土では、特にハラスメントに対して寛容になりがちです。古賀氏の本書では、報告書に記載された様々な事例を取り上げ、「集団浅慮」がどのようにして形成されるのか、またその恐ろしさがどこにあるのかを明らかにしています。
報告書は、また組織に潜む人権侵害や倫理観の麻痺といった側面にも言及。例えば、女性社員に対する扱いや、見た目や年齢ばかりが重視される文化についても触れています。これにより、多くの社員が安心して声を上げられない環境が形成され、結果的に組織全体のパフォーマンスが低下してしまうのです。
古賀史健氏の観点
古賀氏は、フジテレビの調査報告書から得られた教訓をもとに、企業が抱える根本的な問題に目を向けます。彼は、集団浅慮を克服するためには「ダイバーシティ」の重要性を提唱し、個々の違いを認め合う環境作りが必要だと強調しています。これにより、企業はより健全で効果的な意思決定を行うことが可能になると主張します。
読者層と本書の魅力
本書は、経営者や管理職だけでなく、企業文化に違和感を感じる一般社員や、若手社員にも手に取ってもらいたい内容です。組織の中で「集団浅慮」に陥ることを防ぎ、真に活気あふれる職場環境を生み出すための視点を提供しています。
まとめ
『集団浅慮「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』は、単なるビジネス書ではありません。古賀氏の独自の視点から、日本企業の抱える根深い問題を提起し、解決の手がかりを示す一冊です。全ての組織人にとって、今後のビジネスシーンを見つめ直すための貴重な一書として、多くの人々に親しまれることを期待しています。
(情報元:ダイヤモンド社)