フランス人アーティストkuma(クマ)は、京都・水尾で15年間、日本の文化に深く根ざした独特の表現活動を行っています。千年以上の歴史を持つ日本の詩や美に対するkumaのアプローチは、音楽、書、出版、陶芸の四つの創作を通じて展開されます。彼の作品は過去の再解釈ではなく、現代に生きる日本文化の核心を照らす新しい視点を提供しています。
kumaは、『日楽吟(にちらくぎん)』という詩集を通じて、自身の日本への思いを詩的な断章として表現しています。この作品は、彼がフランス語で書いた短くも深い詩から成り立ち、日本に対する愛情を静かに語りかけます。翻訳された日本語版には、円空の木像を思わせる日本人のポートレートも添えられており、彼の作品に対する賛美が込められています。特設ページでは詩集の詳細が紹介されていますので、ぜひ確認してみてください。
続いて、kumaはアルバム『百人一首』をリリースしました。このアルバムには、平安時代の恋の歌をテーマにした13曲のオリジナルフランス語楽曲が収録されています。ボサノヴァ、シャンソン、フレンチラップと多彩なスタイルで仕上げられたこのアルバムは、古の恋歌が現代のリズムと声で新たに息を吹き返す試みとなっています。作品の試聴や歌詞は、特設ページで楽しむことができます。
さらに、kumaは『和漢朗詠集』を題材にした書道コンテストを京都・水尾で開催しています。この古典的な作品は、長年にわたり書道の教本として親しまれてきました。応募者はお気に入りの詩を選び、自身の筆で表現する自由形式のコンテスト。この企画は、千年前のことばに今を重ねる貴重な機会であり、優勝者には水尾の特産物である柚子の木の収穫を贈呈します。詳細については、公式サイトでチェックしてください。
そして、kumaが手がけたギャラリー「gallery kuma」の開廊が目前に迫っています。このギャラリーは、築百年以上の蔵を改修したもので、茶道の茶碗や煎茶器など、昔ながらの温もりを感じさせる器たちが展示される予定です。静かな器たちは、光や手のひらに寄り添いながら、時間の流れを感じさせるような美しさを持っています。また、ギャラリーへの訪問は愛宕神社への山道散策と合わせて楽しむことができ、多様な体験を提供します。
kumaのプロジェクト群は、いずれも日本文化の深い美を現代に蘇らせることを目的としており、彼の独自の視点を通じて、私たちの文化を見つめなおす機会を与えてくれます。kumaの作品を通じて、京都の水尾に響く日本の詩と美を感じてみてはいかがでしょうか。