中国絵画を新たに発見する!『図鑑中国絵画の歴史』
2025年8月18日、東京書籍株式会社から発売される『図鑑中国絵画の歴史』は、魏晋南北朝時代から清代末期までの中国絵画を一望することができる画期的な作品集です。編著は馮翰林氏、日本語版の監修と翻訳は飛田優樹氏、訳者は三村一貴氏が手掛けています。全288ページ、価格は本体6,000円(税別)です。
この本の最大の魅力は、選りすぐりの74作品を通じて、中国絵画の豊かな歴史とその背後にある文化を詳しく解説している点です。従来の絵画作品集とは一線を画し、作品にまつわる物語や伝説、そして表現技法についても多角的に紹介されています。特に、各作品に対する部分拡大図が含まれており、細部にわたってその魅力を読み解くことができます。
74作品の厳選集
本書では、北京故宮博物院や台北故宮博物院、さらには東京国立博物館や大阪市立美術館、メトロポリタン美術館など、世界中の著名な美術館から収集された絵画が豊富に取り上げられています。特に北宋時代の代表作である「千里江山図」と「清明上河図」は、それぞれ3メートルに及ぶ片観音製本で紹介されており、目を見張る美しさを誇っています。
編著者とその背景
編著者の馮翰林氏は、1993年生まれの若き研究者で、中央美術学院を卒業後、古代中国の書画の鑑定と研究を専攻。彼の主な著作には『清明上河図』や『国家宝藏――中国博物館鎮館の宝』などがあります。日本語版の監修を務める飛田優樹氏は、東京大学大学院で美術史学を学んでおり、特に明清時代の文人画に精通しています。一方、訳者の三村一貴氏は、古典中国語の専門家であり、中国語学の視点から研究を進めています。
内容詳細
本書は、以下の7つの章に分かれています。特に年代ごとの絵画作品が掲載されており、それぞれの時代の特色を把握することができます。
1.
魏晋南北朝の絵画(200~589年)
顧愷之の「女史箴図」など、初期の重要な作品が紹介されています。
2.
隋唐の絵画(581~907年)
張萱の「搗練図」はその繊細な表現力から高く評価されています。
3.
五代の絵画(907~960年)
著名な画家たちの作品が集まり、その多様性が魅力です。
4.
宋代の絵画(960~1279年)
北宋・郭煕の「早春図」、王希孟の「千里江山図」など、目を見張る作品が多数収められています。
5.
元代の絵画(1271~1368年)
元代特有のスタイルの変遷を感じ取ることができます。
6.
明代の絵画(1368~1644年)
明時代の文人画の発達が詳述され、特に唐寅や仇英の作品が注目されます。
7.
清代の絵画(1644~1912年)
王時敏や呉昌碩の作品を通じて、清代の絵画の特色を探ります。
この『図鑑中国絵画の歴史』は、愛好家はもちろん、美術を学ぶ学生や研究者にとっても貴重な資料となることでしょう。美術の歴史を彩るその物語を、ぜひ手に取って味わってみてください。