大阪万博に見る笑いの力
2025年の大阪・関西万博に出展された『よしもとwaraii myraii館』が、笑いの力とそれが心身に与える影響を示す実証実験『Smile Log』を実施しました。この取り組みは、笑いが人間の感情に与えるポジティブな影響と、周囲の人々の笑顔が自己にも波及するという“笑いの相乗効果”を分析しています。
実施された取り組み
『よしもとwaraii myraii館』では、訪れる人々の感情をAI技術で測定する大規模な実証実験を行いました。来館者の感情と笑顔を分析するために、感情分析と笑顔検知の二つの手法を取り入れました。前者は来館の前後における感情を分析し、後者は顔認証技術を用いた笑顔の検知を行いました。
感情分析
実験では、Olive社が開発した感情分析ツール『LA CAUSE』を用いて、パビリオンの入退館時やコンテンツ鑑賞前後の生体情報を測定しました。結果として、1,335,360名がアプリを起動し、35,985人が感情を計測。この分析により、「リラックス」や「ワクワク」といったポジティブな感情の変化が確認されました。個々のコンテンツによって感情が変化する様子が観察され、特に『Comedy show』や『聴くアシタ』の影響が大きかったことが分かりました。
笑顔検知
一方、笑顔の検知ではOne Smile Foundationが開発したツール『スマイラル』を活用。リモートカメラを利用して、来館者の自然な笑顔を記録しました。この結果、累計笑顔回数は10,275,874回に達し、特定の日には170,231回の最高数が記録されました。
笑顔と感情の相関
データを分析した結果、全体の71%の来館者が「リラックス」を感じていることが示され、「笑い」が癒しに直結する可能性が浮き彫りになりました。また、訪問者の多い日曜日や19時台には笑顔が増加し、周囲の人々の笑いが自己の笑顔を引き出す要因ではないかという推測もなされています。この背景には、社会的相互作用が大きく影響していることがあるでしょう。
ギネス世界記録TMへの認定
このような実験を通じて得られたデータは、184日間での笑顔の検知数が1,000万回を超えたことにより、「単一のイベントにおけるAIによる笑顔の最多数」としてギネス世界記録TMに認定されました。この輝かしい成果は、笑いの力が社会全体に煌めきをもたらす可能性を示しています。
教授のコメント
今回の実証実験を監修した昭和医科大学の大嶽浩司教授は、今回の取り組みについて「世界初の実地での大規模笑顔検証」と評価しました。これまでの研究とは異なり、訪れたすべての人々にリアルタイムで笑顔の分析を行った点が特徴的です。そして、この研究が今後の『笑いと健康プロジェクト』においても大きな意義を持つとしています。
未来の展望
吉本興業は、この実証実験から得られたデータを活用しながら、引き続き「笑い」が持つ可能性の探索をしていく方針です。その目的は、笑いが単なる娯楽を超えて、心の健康を促進する社会を実現することです。このような取り組みを通じて、ポジティブな健康行動を引き起こす新しいコンテンツの開発を目指しています。
今後はさらに多くの人々に「笑いの力」を広げていくことで、笑いによる心の安定と健康の促進を目指していくでしょう。詳しい結果については、公式ウェブサイトでも紹介される予定ですので、ぜひご確認ください。