ヤマハの音場支援システム『AFC Enhance』が発明賞を受賞！

ヤマハが革新をもたらす音場支援システム『AFC Enhance』

2023年7月1日、ヤマハ株式会社の音場支援システム『AFC Enhance』が「令和7年度全国発明表彰」において第一表彰区分の「発明賞」を受賞した。この発明は、音響の響きを最適化するための技術を提供し、音楽や講演において多様なニーズに応えるものである。表彰式は東京のオークラ東京にて開催される予定だ。

受賞の背景

『AFC Enhance』は、元々音響設備を用いて空間の響きを制御する技術として開発された。特許第7447533号に登録されているこの発明は、音場の響きを人々に提供することができるものである。この技術は、様々な施設が直面する音響の課題を解決することを目的としている。特に、多目的ホールなどではそれぞれ異なるジャンルの音楽や講演に応じて、最適な響きの長さが求められる。従来の方法では物理的な設備を用いることが必要なため、大きなコストや制約が伴っていた。

『AFC Enhance』の特徴と技術

本発明は、初期反射音（ER）と残響音（REV）を独立して制御するシステムを実現している。各システムは、実際のコンサートホールで測定されたインパルス応答を使用して、音響信号を処理するためのフィルターを適用する。この制御メカニズムにより、空間の印象を決定する第一反射音と、響きの長さを調整する残響音を効果的に合成することが可能になる。

ER制御では、指向性マイクが収音した直接音を基に、初期反射音をスピーカーから出力する。そして、REV制御は全指向性マイクにより得られる反射音を利用し、残響音をスピーカーから全体に広げる。さらにマイクへ戻る音の音響フィードバックを利用することで、自然な響きの延長が実現される。このようにして、両者のバランスを巧みに調整することで、演目ごとに最適な音の空間を作り出すことができる。

適用実績と文化への貢献

『AFC Enhance』は既に世界中の200以上の施設で導入されており、これにより多くの新規音響機器に対する需要が喚起されている。また、この技術の進展は、音楽文化の普及と発展にも寄与している。音場支援システムを通じて、さまざまな人々が高品質な音楽体験を得られることは、文化的な交流を促し、音楽の魅力を広めることに繋がっている。