持続可能性をサービスマネジメントに組み込むための新規格発表
一般財団法人日本規格協会が、2025年8月1日に「ISO/IEC TS 20000-16:2025」の邦訳版を発行しました。この新たな手引は、持続可能性をサービスマネジメントシステム(SMS)に組み込むための具体的な指針を提供します。国連が掲げる「持続可能な開発」の概念に基づき、未来の世代のための環境保護と経済成長の両立を目指す内容となっています。
過去数十年間、気候変動や生物多様性の喪失という深刻な問題が顕在化しており、人類の活動が地球に与える影響は無視できません。そのため、国連は「持続可能な開発」という観点を前面に出し、具体的には「未来世代のニーズを損なうことなく、現代世代のニーズを満たす」ことを目指しています。この「2030アジェンダ」では、環境、社会、経済という三つの側面からなる17の持続可能な開発目標(SDGs)が設定されています。
特に情報技術は、組織の運営において不可欠であり、その持続可能な開発への貢献が期待されています。サービスマネジメントの国際規格であるISO/IEC 20000-1にも、この持続可能性を考慮する動きが進んでいます。ただし、単なる温室効果ガスの削減やエコラベル取得といった個別の施策ではなく、「環境」「社会」「経済」という根本的な要素をSMSにどうやって統合するかが、今回のガイダンスの重要なポイントです。
この新しいガイダンスの邦訳版は、英語版だけでなく日英対訳版も用意されており、価格は英語版が27,588円、日英対訳版が49,654円とされています。内容は、A4判でそれぞれ21ページと58ページの分量となっています。これにより、多くの組織が持続可能性を実践に落とし込む手助けとなるでしょう。
さらに、ISO/IEC 20000-1はより広範囲にサービスマネジメントシステムの要求事項を規定しています。この規格は、サービスの計画、設計、提供、改善に関する具体的な要求事項が含まれており、組織がSMSを確立し、維持し、そして継続的に改善するための道筋を示しています。こちらの英語版は32,395円、日英対訳版は49,412円で提供されています。
日本規格協会は、1945年に設立され、標準化および管理技術の開発、普及に取り組んできました。現在では、JISやISO、IEC規格の開発を行い、約70年にわたる活動で培った知見を元に、品質管理や環境マネジメントなど幅広い分野での認証サービスを展開しています。
持続可能な未来に向けた取り組みは、企業活動のみならず、私たち一人一人の意識改革にもかかわる重要なテーマです。この新しいガイダンスが、今後のサービスマネジメントの在り方を変える一助となることが期待されています。持続可能な社会を目指して、我々もこの動きに注目していく必要があります。