歌舞伎町のアウトロー、給食の世界へ!
2025年6月20日、公益財団法人 角川文化振興財団から、北大路翼著の新しい俳句集『給食のをばさん』が発売されます。この本は、歌舞伎町で過激な人生を送っていた男が、給食調理士として新たな一歩を踏み出す過程を描いた作品です。
俳句の魅力とは?
本書の最大の魅力は、笑いと悲しみが織り交ぜられたユニークな俳句の数々。北大路は、どのページを開いても楽しめるように、行き届いた表現で読者を魅了します。この俳句集は、全175句からなり、すべての人々に向けて届けられます。多彩な言葉が、四季折々の食材や行事を通じて、人生の喜びや悲しみを表現しています。
例えば、春の訪れを美味しく表現した「包丁を水に沈めて春惜しむ」や、夏の暑さを感じさせる「麦味噌や昭和の夏は暑からず」など、どれも共感を呼ぶ作品ばかりです。俳句を愛する彼自身が、新たに給食調理員としての経験を通じて生まれた言葉の数々は、ノスタルジーと共に新たな視点を与えてくれます。
本書の内容
北大路翼は、俳句を通じて人間の愚かさや喜びを救おうとしています。彼自身、給食の現場での経験が日々の生活にどのように影響を与え、また、俳句が自分自身をどのように支えてくれるかを真摯に描いています。本書には、愚かさを受け入れ、それを笑い飛ばす力が詰まっています。特に、「愚かな人間にこそ俳句が必要」との言葉には、温かさが感じられます。
彼の俳句は、ただの言葉遊びではありません。日々の出来事や経験から生まれた切実な思いが、読者に響くのです。たとえば、冬のあたたかさを感じる「ビビンバの明るさだけの冬の昼」などは、俳句を通じて食事の豊かさや、人々とのつながりを表現しています。
北大路翼の歩み
北大路翼は1978年に生まれ、横浜市で育ちました。小学5年生の頃から俳句に関心を持ち、高校生になると本格的に俳人としての道を歩み始めました。2012年には、現代美術家から公民館を引き継ぎ、自身の運営する団体「天使の涎」を設立。この団体を通じて、多くの人々と俳句を共有し続けています。
彼の著書には、『天使の涎』や『流砂譚』など、数多くの作品があります。本書『給食のをばさん』もまた、彼の魅力的な作品の一つとなることでしょう。
最後に
北大路翼の『給食のをばさん』は、ただの俳句集にとどまらず、彼の人生の転換期を描いた感動的な物語でもあります。彼自身が創り上げる俳句には、楽しさと切なさが入り混じっており、多くの読者に愛されることでしょう。改めて、俳句の持つ力と、その奥深さに触れてみることをお勧めします。彼の言葉に触れることで、新たな視点を得られるはずです。